2018年2月8日に、九頭さんという人物による、
「#魔女集会で会いましょう このタグで、
『魔女が拾った男の子が成長して、魔女よりでかくなって(ごつくてむさくてがっしりしてて)魔女を全力で愛して守る男になる話』
の絵を描きますので、誰か描きたい方いらっしゃればこのタグつけて好き勝手に・・・」
というつぶやきが発端だが、これが人々のあらゆる性癖と創作意欲を刺激すると、イラストのみならずテキストなども創作され、瞬く間に広まることとなった。
【ピクシブ百科事典より抜粋】
他の方の創作を様々見せて頂き、久しぶりにぱっとひらめき思いついたお話です。
まだ来訪くださるイチルキ・ギンルキストのために、大変ショートで恐縮ですが僅かでもお楽しみ頂けたら本当に光栄です。
『 魔女集会 de 会いましょう 』
ヒュッと空切る鋭い音が少年の耳に届いたと同時に、頭からマントにすっかり覆われ周囲を伺う知る事が出来ず月灯りを頼りに木々の間を歩かされ、
俯き狭い視界の足元にボールのようなものが２つごろりと転がり、明るい月に照らされたそれが何かよく見えずとも気づいた少年は瞬時に顔を上げ、
月を背に浮かぶ細く小さな人影を凝視した。
「気味悪いものを見せてしまいすまぬな人の子よ。
そなたに危害はないゆえ、恐れず僅かな間目を瞑っておるがよい。」
「・・・・・」
やけに古臭い言葉づかいながらその声はとても若々しく、小柄で細すぎる体型には多少アンバランスな程大きい黒い帽子に、
同じく黒いワンピースは肩や足が多く露出したデザインで、『闇の黒』である艶やかな黒髪は肩まで伸ばされ、
大きな満月に照らされた肌は人形のように血の気なく神秘的に青白く、端正に整った線の細い顔立ちに、
紫水晶のように煌く大きな瞳が真っ直ぐに少年を見つめていた。
なんて美しい。
これが、『死神魔女』なのか。
この地域には昔から『死神』と呼ばれる『魔女』がおり、時々人里に下りてきては、魂を刈り取っていくと言われ恐れられている。
例え自分を拉致した男達の首を一瞬で刈り落としたとしても、少年に『死神魔女』を恐れる気持ちは少しも沸かず、
初めて出会った人ならざる者が持つ妖艶な美しさに、目を逸らすことも出来ずただただ素直に魅了された。
魔女は低く唄うように呪文を唱えると、倒れた二体は青い炎に燃え消えてしまい、
残った赤毛の頭部は宙に浮かび、その髪色と同じく小さな赤い炎の塊になり魔女の差し出す小瓶の中へふたつとも納まった。
この世界における『髪色』は重要で、多くの人が『空の青』『炎の赤』『大地の茶』『植物の緑』など自然からもたらされる色で形成されており、
魔女の多くは『闇の黒』である場合が多い。
その中でも『雪の白』や『光の金』は珍しく、更に希少種なのが『太陽の申し子』と言われる燈色と『月の忌み子』と呼ばれる銀色である。
「『炎の赤』か・・・
『空の青』であれば尚良かったのであったが、仕方ない。
今回の調合は、これで間に合わせるとしよう。」
「・・・」
魔女は彼らの魂を素材と利用し、何かを作り上げるつもりらしい。
こうなると、森の中に隠れ住んでいた自分を罠にかけ拘束した赤毛の人買い男達の痕跡は一切消滅し、
彼ら唯一の置き土産は、逃げられぬよう少年の手足に付けられた大きな拘束具だけになってしまった。
「しかし、子供をこのような目にあわせる下賤な輩は、昔からいくら刈り取っても減らぬものだ。
人の子よ。
手を、前に出せ。」
返答はせずとも魔女の言葉に少年は、大人しく言われた通り手を前に突き出した。
すると魔女はふわりと地に降り立つと、手も触れずに拘束具を破壊し少年に再び自由を与える。
「これで良い。
もう悪い大人に、捕まってはならんぞ。」
「・・・」
マント越しに頭をぽんと撫でた魔女の手の感触も声も瞳も柔らかく、それに尚一層深く少年の心は囚われてしまう。
こうして同じ地に立ち並ぶと思っていた以上に魔女は本当に華奢で小さく、少年の方が見下ろす程の目線であった。
「今夜の事は悪い夢を見たと思い忘れるが良い。
一人で、家には帰れるか？」
「・・・！」
この言葉に思わず大きく横に振った拍子にマントが外れ、そこで初めて少年の顔がはっきりと晒された。
「！この、髪はっ・・・・・！」
長い時間を生き多くの人を見てきた魔女ではあったが、
その少年の初めての髪色に、驚きに息をのみ一瞬言葉を失った。
※とても短いくせに一気掲載できずすみません。どしても生存確認に４月中に更新したくて・・・
しかし、全部書き終わってると思ったら、全然書いてなくて本当びっくりしたぁ！
頭の中でだけ一回完成していたようですが、まだ文章になってないなんて嘘だ！マジだ！！！
目指せＧＷ更新〜〜〜(T_T)/
2018.4.30
material by 戦場に猫