『 真紅の絆 』 序章(第一話)



繋がってる。

俺とお前は、繋がってる。

俺からお前から、真っ直ぐに伸びた、誰にも断ち切ることの出来ない強い絆。

それはお前から俺が、死神の力を分け与えられたからってだけの話なのか?

違う。

絶対に、そうじゃない。

力を与えられたその日よりも、ずっとずっと前から。

記憶も、存在も覚えていない。

そんな前からきっと。

俺達は、繋がっていたんだ。

だから俺達は、無意識のうちに互いを捜し求め合い、この世界で、出会えたんだから。

 

 

 

 

 

 

闇夜に浮かんだ、瀞霊廷を見下ろす妖しげな二つの白い影。

一人は男で細身で背が高く、短い黒髪で片目を覆い気弱げな風貌には似つかわしくない、奇妙な形の鎌のような大型の武器を背負っている。

一人は女で黒髪の者の肩程の身長で、雛鳥を思わすほわほわとした明るい金色。
但し生え際から前髪の一部が赤茶けたような不思議な配色の短い髪を風に揺らし、
見た者へ深く印象を残す大きな緑色の瞳で、夜に沈む街並みを何か捜し求めるようにゆっくりと見回していた。

二人は共に白く端がぼろぼろに解れた風変わりな白い着物に身を包み、その風体は普通の流魂街の住民とは明らかに違っている。
しかしだからと言って死神でないのも確かであり、何者にも属さぬ不思議な雰囲気を漂わす。

やがて街を見回していた方が大きな瞳を閉じると、吐息と共に小さく呟く。

「・・・・・あの子が・・・いないわ。」

憂いを含んだその声が響き、黒髪の方が見下ろし心配そうに声をかける。

「・・・・・姉さん。」

その心細い視線を受け、呼びかけられた姉は弟を安心させるように顔を上げると明るくニッコリと微笑んだ。

「大丈夫よ。消えた訳じゃない。
今は、ここを離れているだけ。・・・・・すぐ、戻ってくる。」

そう言って姉は襟元に入れていた一通の書簡を取り出した。
書簡の宛名に『朽木ルキア様』と、あまりうまくはない字体で書かれている。
その書簡を眺め、姉は嬉しそうに呟く。

「だって約束したでしょ?戻ってくるわ。私達のところに。
そして、貴方のお嫁さんになって、ずーっと三人で仲良く暮らすんだから!」

「・・・・・そうだね。姉さん。これで僕らは、ずっと一緒なんだものね・・・」


もうすぐ、もうすぐあの子に会える。

これからは、愛しいあの子と、ずっとずっと一緒にいられるのだから。

思い描いた素晴らしい未来への高揚感に、二人共心底嬉しげに微笑み合うと、音もなくその場から姿を消した。




これから瀞霊廷を揺るがす大嵐の予感に、誰も気付かぬ、静かな静かな夜であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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長く我がサイトにイチルキ目的で通われてくださる方はお気づきでしょうが、これは今年の1月1日に、どうしてもなにかイチルキを更新したくて更新した序章です。
映画CMに『こんな話じゃない?』と予想し、あの時はなんとなくの構想はあったものの、完全に形にする事が出来ず、その後サイトからそっと削除し封印・・・・・・orz
しかし!映画DVDの発売に、やはりこれを形にしたいと情熱が再燃。
まだラストまでしっかりとした構想は出来上がっていないものの、途中展開まではなんとかプロットが上がっているので、
今回こそ絶対に最後まで書ききりたいと決意も新たに挑みます。そんなリベンジものですが、宜しければ最後までお付き合い願いたく・・・!(平伏)
内容的には映画の完全パラレルなんですが(私の予想は全部外れたので)、
観てしまった後ではどうしても少しパクり気味なところがあったりすると思いますが、そこは平にご容赦くださいませ〜;;(土下座)
2009.10.1(2009.1.1)

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