※前回まではルキギンがテーマでしたが、今回からは普通にギンルキです。安心して←?お楽しみ下さい・・・

 

 

 

奇妙な一夜が明け、最初に目が覚めたのはルキアの方であった。

ルキアはまだ夢うつつのまま、ベットの上でぼんやりと目を開けた。

「うんっ・・・・・?・・・・ここ・・は・・・・・?」

そして重い頭を抱え、気だるい体をゆっくりと起こし、片手で頭を支えたまま軽く振ってみる。

ダルい。

今までにない虚脱感に全身ひどくダル重い。
おまけに軽い眩暈を覚え、頭の中がぐるぐる回っているようだ。

しばらくそのままじっとしていると眩暈は治まり、人心地着いたルキアは深いため息を吐き出す。
それから完全には開かない瞳を眩しげに細め、ゆっくりと辺りを見回した。






『 紅 月 夜 』 第三夜





(なんだこの匂いは?
随分、甘い匂いがしているが・・・・・)

一晩中焚かれギンの感覚をも惑わせた、いかがわしい香の匂いを嗅ぎ取ったルキアがすんすんと鼻を鳴らせば、
またふらりと眩暈を感じ、ルキアはベットの上に座り込んだまま額を抑えじっとしなければならなかった。

指先まで疲労しきったような覚えのない倦怠感に体は侵されており、自分が馴染みのない布団の上に座り込んでいるのは、
寝心地の感触でなんとなくは察してはいたが、見覚えのない部屋に寝かされていたこの状況にルキアは静かに混乱していた。
外の様子を窺い知る窓もない密閉された空間には時計もなく、ただ室内の中央に大きなベットがひとつ鎮座しているだけなのだ。
室内は暑くもなく寒くもない快適に空調は効いているものの、やけに乾いた空気に色濃く溶け込んだ香の匂いがルキアの意識を混濁させる。ヒドイ喉の渇きにベットサイドに置かれた開封済みのミネラルウォーターを、特に警戒することなく喉に流し込む辺り、ルキアらしくなくまだ完全に目が覚めていないようであった。


なぜ、こんな所に?

なぜ私は、一人で寝ているのだろう・・・?


渇きは癒されたがまだ思考がはっきりしない重い頭を支えながら、ルキアがふと視線を下に向けると、
その視線の先にある光景に驚愕し、思わず瞳を見開いた。


「なっ・・・・!お、おい!ギン!?ギン?お前・・・これは一体、どうしたんだ!?」


すぐには気づけなかったが、自分のすぐ側でギンが寝転んでいた。

しかも、ギンは着ていたシャツを脱ぎ乱された状態で目隠しをされ、
ベットの四方の端から伸びた鎖の先端についた拘束具に両手を括り付けられている。
しかも当人は驚くことに、このひどくショッキングな状況下で呑気に寝息をかきながらすやすやと眠っているではないか。

ルキアは驚きに慌ててギンを揺さぶり、どこかに怪我はないか身体を確認しようと下肢へ視線を巡らせた途端、びくりと震え頬を赤らめ思わず動きを止めてしまった。
ギンは両足も拘束されており、しかもズボンのチャックが全開にされ下着までずり下ろされている。
昨夜あれだけの攻めを受けながらも、ギンのそこは朝を感じ取ったせいか既に精気を漲らせ立派にそそり立っているのだった。
その姿にルキアは顔を真っ赤にさせながらも目が逸らせずにいると、目覚めたギンのひどく呑気な寝ぼけた声が聞こえてきた。


「んん〜っ?なんや・・・もう、朝になったん?そしたらおはよう、ルキアちゃん・・・」

「なななっ何を呑気に挨拶をしているのだ!?と、とにかくこれを外すぞ!」


その声に我に返ったルキアは慌てて側にあったベットカバーを掴みギンの下半身を覆い隠すと、
それからギンの後頭部に手を差し入れ目隠しを外し、ギンの顔を覗き込み心配そうに声をかけた。


「・・・どうだ?ギン。私が見えるか?
身体は平気か?どこか、怪我などしてはいないか?」

「ん〜〜〜?・・・見える見える。
可愛いルキアちゃんが、やぁっと見えるようになったわぁ。」

「お前はどこまで呑気なのだ!
これは、なんなのだ!?
なぜこんな事になっている?
一体誰にやられた!?」

「それは僕もようわからんよ。
・・・それよりルキアちゃん。僕、この腕もなんとかして欲しいんやけど。」

「あ!あぁ、すまん。ちょっと、待っていろ・・・」


そう言いながらギンは拘束されたままの腕を見上げれば、ルキアはすぐにギンの腕につけられた拘束具の留め金を外しにかかった。
その様子を黙って眺めていたギンは、今のルキアが完全に普段のルキアに戻っている事に確証を得ていた。

今の会話の受け答えだけでも、いつものルキアで不自然さは何もない。

きっと目が覚めて自分の部屋であったなら、昨夜の出来事はありえない夢であったと思うだろう。
しかし、今ルキアはギンの目の前で、下着も穿かず片胸を晒したスケスケの真っ白なベビードル姿のまま、
ギンの両腕の自由を奪う堅い拘束具を必死になって外そうとしている。
さっきの発言から察するに、今のルキアに昨夜の行動の記憶はないらしい。


あのルキアちゃんも、なんやカラクリがありそうやね。


これはルキア自身より、この場を仕組んだ浦原を直接問い立たした方が早いだろう。
とにかく今は身体の自由を取り戻すのが先決で、ギンは大人しくルキアが外してくれるのを待った。
しばしの時間をかけやっとルキアはふたつの拘束具を外し、両手の自由を得たギンは身体を起こし、
器用な手つきであっという間に両足の拘束具も外すと、衣服の乱れを直してから開放感一杯に気持ちよさそうに伸びをした。


「あぁ〜〜〜〜!
やっぱ拘束されたんまま寝ると、寝返りもうてんで背中痛いなぁ。
ルキアちゃんは、体の方はなんともないん?」

「私はやけに頭が重くダルイくらいだな・・・たぶん、体の方はなんともない。
それよりギン。これはなんだ?なぜ私達はこんな所に・・・・・んっ!」


もとよりギンはこの舞台の仕掛け人がわかっているのだから、
彼がルキアに危険な薬物を投与するとは考えていない。
だからあまり心配もしておらず、不安げに呟くルキアの問いかけにギンは答えぬまま、
突如ルキアを引き寄せると唇を合わせ、少し強めに抱き締めた。

短くも濃厚なキスが終わると、ルキアは潤んだ瞳でほんのりと頬を染め、
恥じらいながらも口調は勝気にギンを諭すように軽く睨んだ。


「突然なにを!こんな状況でお前はなにをしている!?」

「キスくらいええやろ?
昨日からずーっとルキアちゃんに触るんお預けくらっとたから、ルキアちゃんをぎゅぅってしとうなっただけや。」

「昨日から・・・?私は昨日からお前と一緒だったのか?」

「やっぱり、覚えてないん?」

「・・・うむ。昨日の事を思い出そうとしているのだが・・・なんだかよく・・・わからないのだ。」

「まぁ、そんな焦らんでもええよ。
心配せんでも、昨日の夜は僕とずっと一緒やったんから。」

「そう・・・なの、か・・・?」


記憶がない不安感に惑い揺れるルキアの様子を伺いつつ、ギンはルキアの両肩を掴み少しだけグッと後方に押すと、
昨夜から見たいと願い妄想していた現物を前に出来た喜びに、ギンは嬉しげに声までも弾ませた。


「それより・・・・・想像以上や。
ちゃぁんと見れると、ほんま、エロいなぁ。」

「エロい?お前は、なにを言っている?」

「昨日はずいぶん焦らされとった挙句、散々煽られてたもんやから、
こないに美味しそうなルキアちゃん前にしよったら僕もう我慢できんよ。」

「私が、美味しそう?
・・・っ!!!なっ・・・!何!?これは・・・!!
やっ!ギン!み、見るな!見てはならん!!!」


にやにやといやらしいギンの視線を受け、ルキアは何気なく自分の身体を見下ろした。
しかし瞬時に自分の姿を認識すると、ルキアは頬を硬直させ今までしたこともない己の淫らな格好に一瞬頭が真っ白になり、
それでも慌てて両手で胸元を覆い隠すと、必死になって叫びギンから離れようと後ずさる。
今まで体験したことの無い虚脱感に体の感覚がおかしくなっており、自分がこんなにも心もとない姿をしているとは感じ取れなかった。
しかしギンは獲物を狩る肉食獣のそれを真似、わざとらしく両手を布団の上につき、
ゆっくりとした動作でありながらも隙のない動きで、広いとはいえベットの上、ルキアをすぐに追い詰めた。


「昨日から僕、散々ルキアちゃんのええようにされてきたんよ?
身体も自由になったんやし、こっからは僕のターンやろ?」

「な、何をわけのわからぬことを言っているのだ!?
とにかく後ろを向け!こっちに来るな!おおたわけが!!」

「やっと美味しそうなルキアちゃん見れたんに、見るな言う方が無茶な話やて。
・・・なぁ。もっとよう僕に見せて?」

「・・・・・!まさか・・・お前がこんなものを私に着せたのか?」

「いややなぁ。僕のせいにせんでくれる?
僕はこの部屋連れ込まれた時は、もう目隠し、拘束されてたんよ?
それは、ルキアちゃんが乱菊が選んだ言うてたやないの。そんなんも覚えておらんの?」

「松本殿?・・・・松本殿・・・・そうだ!
昨日、確か松本殿から電話があって・・・ひゃっ!?ギ、ギン!?お前何を・・・」


霞がかった頭の中で、やっと現れた乱菊との記憶にルキアが心奪われた隙に、
ギンは襲い掛かるといともたやすくルキアを捕らえ、両手を掴みそのままベットの上に押す。
自分の下のなり狼狽したルキアを嬉しげに見下ろし、ギンは内緒話をするごとく囁いた。


「そんなん今はどうでもええ。こっちの用事が済んだら、ゆっくり聞いたらええんやから。
・・・それより、なぁ、しよう?」

「!!!貴様は莫迦か!?なぜこんな怪しげな場所で、そんな事が出来るのだ!?」

「怪しいゆうても、たぶんやけどここ浦原さんの持ち家のはずや。
せやから、多少延長しても問題ないやろ。」

「浦原!?そうか・・・あやつがかんでいるのか!今、電話をして・・・!あっ!?」

「せやからぁ、そんなん後でええよって。
ここおもろいもんいっぱいあるみたいやし、これでルキアちゃんたっぷり楽しませたげるわ。」


つまらぬ話を打ち切るようにギンは性急にルキアの唇を塞ぎ、露になったままの胸を優しく揉みしだく。
香の効果か元より敏感な体のせいか、ルキアはすぐにも快楽の波に流されてしまいそうになりながらも、
この不可解な状況を正すのが先決と抵抗を止めない。


「やっ・・・!うんっ・・・ふぁっ・・・!ギン・・・だめっ・・・!!」

「女の子から何か貰うたら、倍返しは常識やん?軽く三倍はお返ししたげる。期待しといてな?」

「莫迦っ・・・・!なにが期待を・・・!やっ!だめ・・・!やだぁっ・・・!!」

「だめ違うやろ?ええ言うてみぃ?」

「やだぁっ!やっ・・・!!ギ・・・ギン・・・・やめてっ・・・!!」

「・・・・・昨日の子とは、まるっきり別人やね。
でも、いつも通りのルキアちゃんで良かったなぁ。この反応、やっぱり安心するわ。」

「何を、言って・・・?あっ!・・・・あぁっ!?やっ・・・やだぁっ!!」


突然視界を奪われ、狼狽にルキアは細い悲鳴を上げた。
ルキアの視界を奪ったものは、昨夜ギンを赤い世界に閉じ込めていたルキアの愛液が染みたあの赤い布であった。
ギンは仕返しとばかりにルキアを赤い世界へと招待し、困惑したルキアを眺め悪戯そうにくすくすと笑う。


「色々あるんやし、使わんと損やね。
折角やからルキアちゃんにも目隠しの醍醐味、味あわせたらなぁいかんな。」

「やだ!ギン!!何を・・・!!」

「禁止その壱。僕のこと、見たらあかん。」

「え?な、なに・・・?」

「エッチする時のお遊びや。
ちょっとした決まり事決めるだけでな、余計に興奮するもんなんやって。
最近流行っとるみたいやし、折角やから僕らも試してみよか?
新しい世界の扉、開くことになるかもしれんよ?」

「なにを莫迦な事を!いいからこれを取っ・・・・・」


ギンの悪ふざけにはルキアも大概慣れたつもりであったが、やはり突飛なところは昔と変わらずルキアは翻弄されてしまう。
いい加減に苛立ったルキアは目を覆う布を外そうと両手を目元にあげた所、素早くギンに掴まれ引っ張られた。
そのまま手首に何か硬いものが回され軽く締め上げられると、
ルキアは両手を例のベットの端から伸びる拘束具に括り付けられ、
地面で雨を求めひれ伏す人のようにうつ伏せに固定されてしまった。

さすがに両足を拘束するのは可哀想なのでやめてみたが、ルキアの体は薄く透けたベビードルのみに包まれ、
下肢にはまだ下着を穿かせてもらえず、ベットに両手を固定されながらも立ち上がろうと膝をつけ足を踏ん張り、
赤い布に目隠されたまま、下着も穿かずに真っ白で小ぶりなお尻をまるで誘うかのごとくに揺らし暴れる様は、
ひどく淫猥でギンの嗜虐心を激しく高め揺さぶる姿であった。

その姿を少し離れて観察しながら、ギンはサイドテーブルにおかれた水を飲みニヤニヤと眺める。


「なっ!?なんだこれは!ギン!!貴様なにをするかっ!!!」

「ただでさえエロい格好なんやし、こうすると・・・余計エロいなぁ。」

「ひっ・・・・・!」


動けぬルキアの背中に先程飲んだ水で冷えた舌を滑らせながら、ギンは感心したように溜息を吹きかける。
それにルキアは下肢疼くぞくぞくとした抗えぬ性の痺れを感じながらも、必死に暴れいやいやと顔を振った。
ギンは片手でルキアをベットに留め置く拘束具に触れると、ルキアの耳元に唇を寄せた。


「あんま暴れん方がええよ?
これ結構堅いもんやし、後で痣、できてしまいそうやから。」

「そう思うなら早く外せ!!!」

「『折角つけたのに外せだと?何を言うのだ、これから面白くなるのではないか』
・・・ってなぁ。ええ科白やったけど、覚えとる?ルキアちゃん。」

「・・・・・?何の、ことだ?」

「やっぱり覚えとらんみたいやね。
まぁもう、どうでもええけどな。後は僕も楽しませてもらうわ。」

「!!だめっ!ギンッ!やめっ・・・・・!」

「禁止その弐。僕の名前、呼んだらあかん。」

「な・・にっ・・・!?」

「ルールはどんどん増えていくんよ。それ全部守らってな。
全部守れるええ子やったら、これ外したるからきばらなあかんよ?」

「そんな莫迦な!ギン貴様は・・・」


勝手なギンの言い分に気色ばみ叫んだルキアの下肢へと手を伸ばしたギンは、
おもむろに指を一本蜜壷の奥深くへと突き立てた。
その衝撃にルキアは両手で布団を掴み顔を上げ背を反らして反応し、びくんっ!と体を震わせ叫ぶ。


「うあぁっ!?」


「いきなりルール破っとるやん。
あかんよルキアちゃん。気ぃつけんといつまでもこのままなんよ?
自由になりたいやろ?そしたら僕の言う通りにしとき。ええ子にならないかんやろ・・・?」


「・・・・・っ!」


久しぶりに感じるギンの強い嗜虐心と征服欲にルキアの体は震え出す。
何もかもが真っ赤な世界で体を弄ばれ、ルキアは完全に理解した。

ギンはこの遊戯をやめる気はなく、自分は従うしか道はない。

それはひどく恐ろしいような、この上なく甘美なような説明のつかぬ感情にルキアの心も体も震えていた。

部屋のそこかしこに残る昨夜焚き染められた甘い残り香に、知らずルキアの中の被虐性が高められていく。
目隠しにギンの様子は確認出来ず、自分はひどく怯えているはずなのに、
胸震わせたルキアの口元は僅かに笑みを浮かべ、絶望とも希望ともつかぬ淫靡な溜息を吐き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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※これこそ ネ申 の啓示かも!?(起きてて寝言がほざけます。特技です。)
この作品はお世話になっている古くからの常連様にアイディアを頂き、時を経て新たに出会えた同士様から『禁止○e○』なるネタを教わり、早速取り入れてみたものです♪(私信・勝手にすみません。rtさま。)
仲間内でも裏好きならお前だよね☆的扱いが満更ではなく、だったらギンルキでもう一本仕上げたる☆と、無駄にやる気が満ち一気に書き上げてしまいました〜www・・・っつっても、実はもう7割方書き上げてたから、そこに新たなエピぶっこんでみただけなんだけどな!
他にも私の書くギンルキをスキと言ってくださる方もいらしてくださったので、その方の為にもまたギンルキで書きたいなー・・と検討中だったし、
とにかく全てがこの作品を書き上げるのに丁度良いタイミングだったので、期を逃さず情熱のままに書いてみました☆
なのでこの作品は私を支えて下さる同胞達、ギンルキ仲間へと勝手に捧げさせて頂きます〜♪(誰もいらんか・・・orz)

当然ながらこれでギンターン終了ではありません。次からが本格的なギンのドSっぷりご披露の回になる予定。(もりもり書いてる!)
そして今回私的一番のポイントは、うちのルッキはドMっ子設定なので、ギンに攻められ嫌がりながら、
実は内心すごい喜んじゃってるよ♪ってところだったりw でもただのどMっ子じゃないよ!ルッキは純真可憐などMっ子なんだから!(なんの主張?)
2010.6.20

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