ルキアは己の視界を遮る布の赤さに眩暈を覚えながら、遠い昔の事を思い出していた。
ギンと付き合うようになってからそれなりの年月が流れた今となってはすっかり忘れ去っていたが、
奴と出会ったばかりの時、自分はなによりもこの男を嫌悪し、そして恐れていた。
ギンの姿が見えようものなら踵を返して立ち戻り、声が聞こえようものなら出会わぬように細心の注意を払い、声がした先を探り避け歩いたものだった。
そんな私達がどうしてこうなってしまったのか、今となっては明確に思い出すことなど出来ないが、
でも、ひとつだけはっきり思い出した事がある。
ギンは私が避けているのを知っていて、わざと余計なちょっかいをかけてくる嫌な輩であった。
奴の姿が見えた途端、顔をあわせぬように踵を返し駆け出した私の先に回りこみ、
こちらがぞっとする程優しい猫なで声を出し、奴以外に聞かぬ独特のイントネーションをつけた言葉で私へと囁きかける。
「こんにちはールキアちゃん。
そない急いで帰らんと、僕と少し遊んでいかへん?」
奴の声はこれから私を嬲る楽しさで弾んでおり、その声の明るさに、私は、
心底絶望的な思いに打ちひしがれていた、あの頃を−−−−−
『 紅 月 夜 』 第四夜
ベットの両端から伸びた拘束具に手の自由を奪われ、裸体がはっきりとわかる薄布の真っ白なベビードールを羽織っただけで、
茂みのない蜜滴る卑猥な割れ目を覆い隠す下着も着けず、ただ床上での遊戯を盛り上げる為だけに着用されたガーターベルト姿で、
布団の上に伏せるような格好で両手をくくりつけられたルキアは、ギシギシとベットを軋ませ暴れ叫んだ。
「いやだいやだ!こ・・こんな事はいやなんだ!
頼むギン!お願いだからこれをはずしてくれ!!」
「・・・僕の名前呼ぶんは、禁止にしたやろ?」
ルキアに拘束と目隠しをした張本人はゆったりとした笑みを浮かべ、無駄な抵抗にもがくルキアを悠然と見下ろし、
突然、一本だった指を二本に増やし、ぐりっとねじ込むように丸見えに晒されたルキアの蜜壷を掻き回す。
これに、ルキアの悲鳴も一段と高くなる。
「いやぁっ!?」
「あかんなぁルキアちゃん。
床上の遊戯は、ちゃぁんとルール守らな面白んないやん。
今決めとるルールは僕を見る事、呼ぶ事禁止や。
ええね?しっかり守らなあかんよ?」
「いやだ・・・こんな・・・・・いっ・・・やぁっ・・・・・・!」
目隠しされルキアがいるのは、異様に赤い、倒錯する真っ赤な世界。
なによりもルキアが怯え忌み嫌っていたあの頃に戻ったように、ギンは嗜虐的な楽しみに溺れ、
ルキアが悔しげに泣言をこぼす様をも嬉しげに見つめている。
かくいうルキアも言葉では否定し続けるものの、性の興奮を高める強い香の匂い影響も手伝い、
ギンの的確で快楽を高めるテクニックに次第に息乱れ、心も体も蕩けもっと強い刺激を求め期待が高まっていく。
その証拠ともなる悦楽の蜜が肉襞の奥から滲み溢れてはギンの指を濡らし、くちゅくちゅと淫らな水音が聞こえ始めると、
ギンは心底愉快そうに我見えぬルキアに声だけで感情が伝わるよう、意識していやらしげに声を潜めた。
「ちょぉ弄ってみただけやのに、やらしい割れ目からもうおツユが溢れとるよ。
こんなんされて気持ちええんやね?ルキアちゃんはほんまに苛められるのがすきやねぇ。」
「ち、違っ・・!うぁ!?・・・ぅくっ!・・・・ふっ・・・・・あぁ・・んっ・・・・・!」
ギンは指で中を強くかき回し、白桃のように瑞々しくも小ぶりなお尻の柔らかな丸みにキスをしながら舌を滑らせた。
いつものように長い指が前後に律動するたび、ルキアのそこからぐちゅぐちゅと蜜が滴る熟れきった果実を弄んでいるような卑猥な水音が響き聞こえてくる。
激しく指を動かしながら同時に、ギンはぷりぷりとしたお尻をちゅうちゅうと吸い痛くない程度に甘噛めば、
ルキアはその全てにビクビクと体を跳ねて反応し、切なげに洩らす吐息は止めようもなく次第に熱と艶を増していくばかり。
「あぃっ!?やぁっ・・・!ギ・・・お願っ!・・・お願い・・だ・・・
も、だめ・・・!これ以上されたら、わた・・私・・・私は・・・私、はっ・・・!!」
「なんや〜もう降参なん?
いつもより早いやないの。案外、お気に召してくれたんやね?」
「あっ・・・やっ!こ、これ以上は、本当に・・・・・・・・あっ!?」
ギンの名を呼びかけ、ハッとしてやめたルキアの従順さにギンは改めて満足げな笑みを浮かべ、
男を求め蜜滴る淫猥な花襞から指を引き抜けば、達する直前まで高められたルキアは、
名残惜しさに思わず物欲しげな声をあげてしまう。
「どうしたん?ルキアちゃん。やめて欲しかったんやろ?」
「あ・・・あぁ・・・・そ、そう・・なのだが・・・・・・」
もう少し。
あともうほんの少しで、達することができたのに。
決して言葉には出来ない思いに声を不安げに曇らせ、ルキアは体の奥で燻るような不完全燃焼な高まりに、
体の奥疼く欲求に我慢できずもじもじと腰をくねらせた。
その反応はどこまでも可愛いらしく、また、なんとも嗜虐心を煽る苛めがいのある朽木ルキア。
愛おしさが募りすぎ、誰よりも大切にしたいし、同じくらいの情熱で滅茶苦茶に壊してしまいたくもなる。
相反する二つの思いを同時に抱えた市丸ギンは、今は壊す時とばかりに、
ルキアの蜜にしっとりと濡れた指を旨そうにぺろりと舐めつつ、畳み込むように次の禁止令を発動させた。
「禁止その参。僕の許可なく、勝手にイッたらあかんよ?」
「なっ!そんなの・・・!」
「今のルキアちゃんは悪ぅないけど、昨日のお返しなんやし、もうちょっと頑張って。な?」
「昨日のお返し?わ、私がお前になにをしたのだ!?いい加減に話し・・・・・
きゃうっ!?ぎ・・・・お、お前は何をしている!?」
「ルキアちゃん。・・・・・愛しとるよ。」
禁止事項の追加にひどく狼狽するルキアを楽しげに観察しながら、ギンはルキアの隣に寄り添うように横になると、
突然ルキアを下から軽く持ち上げ出来た僅かな空間に潜り込み、ルキアと顔を付き合わせるようにして自分の上に重ね乗せれば、
驚き叫ぼうとするルキアの唇を塞ぎ吸い、手は固くしこった乳首を摘まみクリクリと刺激を与える。
「んくっ!・・・・ふぁっ・・・・!んっ、んっ・・・・・あむぅっ!?」
「キスされながらおっぱいイジられるんルキアちゃんは大好きやもんね?
な?目隠しされとるとなにされるかわからん不安と神経研ぎ澄まされて、余計に興奮するやろ?」
「なにがっ・・あむっ!?くぅ・・んっ!ん・・むぅ・・・・・っ!!」
ギンの上から逃げ出そうにもベットに体は固定され、更に重力に押され自らの体重に重なり密着したギンの感触に、
抑えようのない性の高揚にルキアの蜜はとろりと溢れる。
舌と舌を深く絡ませあう濃厚なキスから名残惜しげに唇を離し、ギンは余計に強く乳首を捻り笑えば、
次になにをされるか分からぬ恐怖と快楽にルキアの体は打ち震え、自分でも訳が分からぬ感情に狂ったように泣き喚く。
「あっ!や、やだぁっ!ギン・・・ギン!!こんなの嫌・・・これ、取って!取ってぇ・・・・・!」
「僕の名前、呼んだらあかんよって。ええ子にしとらんと、いつまでもやめられんなぁ。」
「だ・・・だって・・・だってぇ・・・・・・ひあぁっ!?」
ずずっ・・・とギンが僅かにずり下がったとルキアが感じた途端、悦楽に尖り固くなった乳首にギンが優しく吸い付いた。
これにルキアはビクッ!と体を跳ねさせるが、ギンは構わず器用な動きをする舌先で乳首を転がしては強く吸い付く事を繰り返す。
ギンはルキアの乳房を軽く握り、更に尖らせた乳首を突き出した長い舌先を激しく上下させ刺激してくる。
舌からの刺激を逃れた片胸は柔く揉み上げ、ギンは交互に両胸を丁寧に弄んだ。
挙句、ギンは両足をルキアの股の間で膝を立たせ差し入れているのでルキアは足を閉じることも出来ず、
後ろから誰も見る者がいないとはいえ、男を欲しがりひくひくと悶える花びらが全開にされている恥ずかしさに体の震えは止まらない。
目隠しという状況に、媚薬効果のある香と、敏感な胸への愛撫にルキアはもう限界寸前だった。
そうでなくとも先程イキそびれた疼きは体の奥で燻ぶり続けているのに、
これ以上攻められたら本当に自分はおかしくなってしまいそうな危機感に、必死でルキアはギンに懇願した。
「やあっ・・・おねが・・・お願い・・・もう、許してぇ・・・・・」
「おかしいなぁ?嫌嫌言う割りに、めっちゃ体は嬉しそうなんやけどな?
気持ち良うなるまで、もうちょい辛抱してな。」
「うあっ・・・!あひぃっ!?」
じゅじゅうっ・・・とルキアの胸にギンは齧りつき、下で物欲しくヒクヒクと蠢いていた蜜壷へと再び指を二本差し込んだ。
そこからは内ももを汚すまで溢れた蜜が垂れ流れ、激しい律動にグジュグジュと耳を塞いでも聞こえそうな水音が響き、
ルキアは動けぬ体で可能な限り背を仰け反らせ、強すぎる快楽にあられもなく絶叫してしまう。
「うあっ!ひぃ・・・ぃんっ!ふぁっ!?あひっ・・・うあっ・・・ひあっ!」
「これ、ええやろ?
めちゃめちゃ感じまくっとるねぇ。ほんまにルキアちゃんは可愛いなぁ。」
「あっ!・・あっ!・・・あぁっ!?らめっ・・・!こ、こんな・・・やぁっ!?」
指動く度増す快楽に身を任せ、今度こそ昇りつめようとしていたルキアの中で、意地悪くもギンの指はまたしても動きを止めた。
それに動揺し、見えないながら目の前にいるギンをハッとしたように見つめれば、ギンはひどくゆっくりと指を動かした。
「勝手にイッたらあかんやろ?僕になんて言えばええのかわかる?」
「も、もう・・いぃっ・・・・・くぅっ・・・!
いく・・・もっ、いき・・・・・たい!!いかせてぇ・・お願いっ・・・!!!」
「よう言えました。そしたらご褒美あげような。」
「いっ!いいっ!!い・・・く・・・いくいくいくいっ・・・!!・・・・・・・ひあぁっ!!!」
焦らせ過ぎたルキアは理性の枷が外れ、恥も外聞もなく狂ったように泣き喚きギンの望んだ言葉を叫ぶ。
ギンは声なく笑いながらルキアの好きな場所を探り、あっけない程簡単にルキアを絶頂へと押し上げた。
ギンの指を締め付けるそこからは蜜だけでなく、さらさらとした潮までも噴出しギンの手を更に濡れさせた。
極めた脱力にぐったりとしながら痙攣しぴくぴくと震えるルキアの下からギンは抜け出し、
ギンはベットの上に立ち上がると、ルキアを見下ろし嬉しげに呟く。
「潮吹いて痙攣か。また今日はえらい派手にイッたもんやね。
僕の指ぎゅうぎゅう締め付けてくるんやから、ルキアちゃんのここはほんまに狭いなぁ。」
「ぎ・・・お願い・・・お願いだから・・・ちゃんと、して・・・」
「なんや。今、イッたばっかりやのにもう僕が欲しいん?」
「欲し・・・ぎ・・・・・お前が、欲しい・・・」
「ルキアちゃんが自分からそこまで言うてくれるなら、僕もちゃぁんと応えなあかんね。
ええよ。腰、上げてな?」
「お願い・・・早くぅ・・お願い・・・・・」
「・・・エロい格好したルキアちゃんが、腰振りながら男誘うなんて普段やったら絶対考えられんなぁ。」
荒い息遣いと朦朧とした意識の中で、それでもルキアはギンを求め懇願する。
目隠しに拘束、睦事での禁止行為に絶頂の寸止めが効いたのか、ルキアはもうギンと激しく交わる事しか頭にない。
欲しい欲しい。ギンが、欲しい。
指よりも熱く太いもので、私を満たし激しく強く貫いて欲しい。
ルキアはギンに言われるより先に自ら獣のように四つん這いになると、挿れやすいように手をつき腰を上げていた。
しかも無意識のうちに腰をくねらせてお尻を揺らし、まだかまだかとギンを誘う。
自分が望む以上に淫乱に変わり果てたルキアの様子にギンは深い満足と少々の驚嘆を覚えた。
普段、潔癖過ぎる程潔癖な者程、淫蕩に堕ちるとその果てはない。
そしてルキアには明らかにそちらへの資質があり、その無限なる鉱脈を掘り当てた悦びに、
ギンはルキアの求めるものをご褒美とばかりにゆっくりと押し入れた。
その瞬間ルキアの体は僅かに跳ね、それからひどく満足そうな、溜息とも絶叫ともつかぬ淫らな声が上がる。
「ふあっ!?あっ・・・あぁっ・・あ・・・・・」
「これが欲しかったんやろ?気持ちええの?ルキアちゃん。」
「あっ・・・やぁっ・・!もっと・・もっと突いてぇ。
もっといっぱい!強く!突いて・・・」
「今日はえらい欲しがりやさんやねぇ。・・・でもええよ。ルキアちゃん。
僕、ルキアちゃんの為やったら、なんでもしたげるからねぇ。」
ゆっくりともどかしい刺激しか与えぬ動きに焦れたルキアは、壊れそうに強い快楽を求めた。
ギンはルキアの求めるがまま動きを早め、華奢な腰をしっかりと掴むと、
少々乱暴なまでに強くルキアの尻に叩きつけるようにパンパンと腰を打ちつけた。
ギンの肉棒はルキアの小さく狭い蜜壷の最奥を強く打ち響かせ、痛みにも近い強烈な快楽でルキアの全てを支配していく。
しかしこれをルキアは痛がるどころか悦び受け入れ、自分が望む強い快楽の渦に巻かれ恍惚と声をあげた。
「あっ!あっ!いぃっ・・・!やぁっ!いいっ!すごいいいっ!!
あはぁっ!もっと・・・もっともっとしてっ!いっぱいいっぱい気持ち良くしてぇっ!」
「信じられんくらい乱れて悦んどるなぁ。これも昨日の名残なんやろうかね?」
「気持ちいいっ!あっ!あっ!あっ!いいっ!もっと・・・気持ちいいっ・・・!!」
「っ!・・・そんな急に締めたらあかんよ。僕、もうイッてしまいそうや・・・」
「あっ・・・!あっ・・・!いっ・・いくっ・・・!
ふぁっ!?だめっ!気持ちいぃ・・!もう・・もう・・・いくっ!いっちゃうーーーーーっ!!」
「ルキアちゃんがエロ過ぎて、僕ももうイキそうや。もう少し我慢してな。一緒にいこ?」
「だめぇっ!?もっ・・・わたっ、私は・・・もうっ・・・・・・ひあぁんっ!?」
激しい律動に体全部が揺さぶられ、それでもルキアの口から出るのは悦び以外のなにものでもない。
奥の奥までえぐり叩くような律動が止まり、そのままギンの滾る精液を全て注ぎ込まれていく。
その瞬間ルキアの頭の中で意識が真っ白に弾け飛び、今まで経験した事の無い赤い快楽の波に引きずり攫われていくのであった。
※今回のテーマは『ルキアを乱して遊んじゃお♪』でした☆わざとらしいまでにイクとか言わせたり、やたらギンを誘ったり。
普段は私も書くの恥ずかしい(←本当?)ので極力そんな表現はしてないつもりなんですが、今回は媚薬効果に目隠し効果等々。
で、ルキアの深層意識の淫乱さが覚醒した。なんて。目指したのはおのこ向け漫画ちっくに。お嫌いな方は本当にすみません。
今回は大雑把には書き上げていたもののどう締めるべきか悩み、6月中に更新出来ませんでした。残念無念。
悩んだ挙句すごくルキアっぽくない仕上がりにガッカリですが、床上の彼女は違う・・・というギャップエロを楽しんで下さいませ。(平伏)
2010.7.2