どうして、こんな事に。

ひどく居心地の悪い気持ちでルキアは見慣れぬリビングのフローリングの床にぺたりと座りこみ、
目の前のテーブルに置かれたショートケーキを見つめている。
真っ白な生クリームの上には、ジュエルで出来たように真っ赤な苺が飾られていた。

ケーキは近所のケーキ屋で購入した物だが、なかなかうまいと評判らしい。
そう、“らしい”のだ。
それは、ルキアがここのケーキを食べるのが初めてであって、
その情報すら自分で知ったわけでなくこの男から聞いたものだから。

「お待ちどうさん。」

そこにコーヒーの入ったマグカップを二つもったギンが台所から現われ、にこにこと微笑みルキアの前にひとつ置く。
ルキアはギンの顔を見ぬように俯き加減で、そのカップをじっと見つめた。
そして、もう何度目かの同じ疑問を胸の中でひっそりと呟く。



本当に、どうして、こんな事になってしまったのか。






『 不埒な純愛論 』 前編





教師であるギンに学校でしつこくに追い回され、根負けしたルキアは無理に『約束』を取り付けられ、
今、こうしてギンの部屋のリビングに座っていることになった。


その『約束』とは『お誕生日のお祝いに、二人で一緒にケーキを食べる』

教師と生徒である二人が堂々とどこかの店で一緒に食べる事は憚られ、不承不承ながらギンの部屋へと上がるのをルキア自らが望んだものだ。
ギンは自分とルキアの前にカップを置くともう一度台所へ戻り、甲斐甲斐しくも数個のクリームとスティックシュガーを持ってきた。
それらもルキアの目の前に並べ、自分はテーブルを挟んでルキアの真向かいへと腰を下ろす。
ルキアは黙って出された砂糖に手を伸ばし、3つ程掴むとその全てを開けカップの中に注ぎ込む。
これを見ていたギンは、少しだけ悲しげな声をあげた。

「僕ご自慢の豆から挽いたコーヒーやのに、そんな仰山砂糖入れてしもたら、砂糖の味しかせんようになるやん。」

「・・・・・仕方なかろう。私は、コーヒーが苦手なのだ。」

ルキアは不機嫌な様子で続いて2つクリームを開け入れコーヒーをかき混ぜると、やっと満足したようにカップを手に取り一口啜る。
しかし、それでもまだ苦いのかルキアは少しだけ眉をひそめ、コーヒーの中にもうひとつ砂糖を開け入れた。
それからおもむろにケーキの傍らにあったフォークを手に取ると、大きく切り分け自分の口の中に突っ込む。
この時、ルキアの胸にあるのはただひとつ。

とにかく、これを早く食べ終えてしまえばいい。
それでこの奇妙な茶会は終わるのだから。

このルキアの心情を察したのか、ギンはコーヒーを片手に仕方なさそうに微笑みながら、
無言でケーキを口の中に押し込む様に食べまくるルキアを眺めた。
ギンが見る間にケーキは瞬く間に無くなっていき、ルキアは最後の切れ端を口の中に投じ必死な様子で口をモグモグと動かした。
それから残ったケーキをコーヒーで流し込み、ルキアははぁっと大きな溜息をひとつつくと急いで鞄を掴み立ち上がる。

「・・・貴様と一緒にケーキを食べた!これでもう良いな!?私は帰る!!」

叫ぶように言い捨て、背を向けたルキアの手をギンは造作もなく掴み、
怯えたように振り向くルキアに向かい、にっこりと微笑んだ。

「もちろんあかんよ?僕がまだ、一口も食べておらんもん。」

「!!そ、そんな事、私の知った事ではない!とにかく私は食べたのだ!それでもう良いはずだ!!」

「あかんよ。僕のした約束は『一緒に食べる』言うたやろ?
・・・僕が食べ終わるまでは、ここにおってな?そうやないと、またキス、してしまうよ?」


なにが『約束』だ!貴様がしているのは『約束』ではなく、『脅迫』ではないか!!

何を言っても動じぬ狐面に向かいそう叫びだしたいのを堪え、
ルキアはひどく腹立たしげな様子ながら、唇を引き結び無言で大人しくその場に腰を下ろす。
溢れるまでの警戒と反抗に満ちているくせに、こんなにも素直に言いつけに従う隙だらけのルキアが可笑しくも可愛いらしく、
ギンの中のサディズムをどうしようもなく刺激する。
自覚してしまえば、落ちる速度は増すばかり。
想定外に、愛らしく愛おしい朽木ルキア。
先程初めてルキアへの恋心を自覚したギンは、さすがに今日は大人しくケーキを食べて返そうと思っていたのに、
もうそんな事は到底無理だと確信する。
ギンはルキアには見つからぬよう、こっそりと口の端に悪い笑みを浮かべて思う。



ごめんな、ルキアちゃん。
でも僕今日誕生日なんやし、ルキアちゃんから一番欲しいプレゼント。
貰ってもええよねぇ?

 

 

 

 

 

「・・・・・どうした。早く食べないのか?私はいつまで、待てばよいのだ?」

ルキアが座り直してから5分程たつが、ギンはゆったりとコーヒーを啜るだけで、目の前のケーキには全く手をつけようとはしない。
沈黙に耐えながらも我慢強く待っていたルキアは、きつい眼差しでギンを睨む。
これ以上つまらぬ言い訳をするようであれば、さすがのルキアも待つ気はさらさらない。
すぐにもここを立ち去ろうと決心していたルキアに、ギンは顔を向け、にぃっと挑発するように口の端を持ち上げた。

「僕、甘いもん苦手なんよ。」

「!!」

「でもな、誕生日ケーキは特別やん?ルキアちゃんと一緒なら、おいしゅう食べさせてもらえるやろうし。」

「な、なんだそれは!?私に食べさせろとでも言うつもりか?冗談ではない!なぜそこまで私がせねばならん!」

「ルキアちゃんが言うてる意味。すこぉしだけ、ちゃうかなぁ?
・・・・・ルキアちゃんで食べさせてはもらうつもりやけど、そら僕の方でやらせてもらうし、安心してええよ?」

「な・・・なんだ?それは、どーゆー意味なん・・・?あっ!やだ!何をして・・・!!」

何か得たいの知れない危険を察知し逃げ出そうと動くルキアを抱き締め、ギンの手はルキアの制服をたくし上げれば、
すぐにも白いレースで縁取られた真っ白なブラジャーが姿を現す。
ルキアが恥ずかしがる間も与えずギンの手は背中に回り、一瞬でホックを外してしまえばすぐにブラジャーはたゆみ、
その中に納められた、控えめな大きさの胸がギンの目に晒される。
相変わらず動きの良い己の指先に感心しながら、ギンはルキアの耳元で忍び笑うように囁きかけた。

「・・・・・口で言うより、実践した方がわかりやすいやろ?」

「やぁっ!なにをする!やめ・・・・っ!あ・・・あんっ!」

ここまでされるのに要した時間は僅か数秒。
手馴れたギンの動きについていけないルキアは、気がついたら剥き出しにされている胸を覆い隠そうと胸の前で腕を組もうとしたのだが、
それさえも間に合わずギンの手は片方の胸を覆い包み、手の平に乳首を強めに押し付け円を描くように手を動かせた。
初めて受ける胸への愛撫にルキアは顔を赤くさせ、ビクリと体を震わせ反応する。
自分の体を撫で回されるだけでも奇妙な感覚に気持ちが昂ぶってしまうのに、ルキア自身ですら知らぬ性感帯への攻めに抗えるはずもなく、
与えられる快楽という名の刺激にふるふると体を震わせ、それでもギンの手を押しとどめようとし、
その大きな手に小さな手を添え動きを止めようと無駄な努力をしてみるのだった。

「あぁ・・・そんな邪魔ばっかりしたらあかんよ?なんも心配いらんし、僕に身ぃ任せたらええ。」

「うむぅっ!?ふっ・・・んっ・・・んくっ・・・!!」

喘ぎ開かれたルキアの口内に無造作にギンの舌が差し入れられ、ぬめり擦れ合う卑猥な感触にルキアはぴたりと合わせ塞がれた唇の奥で甘い嬌声があがった。
舌を絡め吸われながらも、ギンの指先は休みなくルキアの胸を揉み頂きを摘んで捏ねる。
これにルキアは頬を赤く染めさせ、恥ずかしそうに息を詰めながらささやかに喘ぎを漏らす。

「んっ・・・・・ふぅっ・・・んっんっ・・・!はふっ・・・んむっ・・・くぅ・・・んっ・・・・・!!」

まだ体中を撫で回される感触にとまどいを感じながらも、徐々に体はそこから得られる快楽を求め、
ぎこちなくもルキアの舌もギンの舌の動きに無意識に合わせ始める。
そんな微妙なルキアの変化にもギンは満足し顔を上げれば、
頬を赤らめ息を荒げて自分の腕の中にぐったりと身を任せるルキアを嬉しそうに見つめ囁く。

「ずいぶんええ顔になったなぁ。ルキアちゃん。
そしたらそろそろ、僕もケーキ食べさせてもろうてもええよね?」

「・・・・・・・・・・?・・・・・なにを・・・!」

ギンの言葉の意味する事を察しかね、それでも嫌な予感に表情を曇らせたルキアに構わず、ギンはテーブルに置かれたケーキへと手を伸ばし、人差し指に真っ白なクリームをたっぷりとすくいあげたかと思うと、その指先は迷いなくルキアの胸の先端へと擦り付けられた。

「やっ!?お、おい!!これはなんの真似だ!?」

胸に生クリームをつけられる予想外の事態に狼狽しながらも、それを払い手が汚れる事にためらいを感じ、ルキアはつけた張本人に声を荒げて抗議する。
しかしこれにギンはなんの罪悪もなく笑みをたたえ、ひどく嬉しそうに口元を緩めるだけ。

「見てみぃ、ルキアちゃん。ルキアちゃんの可愛いらしい苺にクリームつけて、まるでケーキみたいやと思わん?」

「たわけが!ふざけたことをするな!早くこれを取れ!!」

「そんな早よぉ食べて欲しいん?そしたら、遠慮のういただきます。」

「誰がそんな事を言って・・・!やっ!はぁんっ・・・・!!やだっ!やめ・・・っ!あんっ!!」

ギンの舌は胸につけられたクリームごとルキアの胸をべろりと舐め上げ、先端を舌先で弄ぶ。
胸の先端にある小さな実に最初は柔くつつくような刺激を与えたかと思うと、次の瞬間、ぐりぐりと押し潰し吸い上げる激しい攻めに変わってく。
その激しさに翻弄され、びくびくと体を震わせ反応を示せば、また撫でられるような緩やかな刺激に変わる。
弱くなれば強く。
強くなればまた弱くなる。
その繰り返しに胸の小さな果実は感度と硬度を高め増し、痛いまでに反応しツンと尖る。
その敏感すぎる感度に調子に乗ったギンは次々にクリームをすくっては、ルキアの胸や腹に塗りたくり、
それを繊細で大胆な動きをする舌で舐め取りルキアを好きなだけ弄ぶように乱していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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裏 top

いいわけ
また表の続きかよ!?・・・と、もう飽きたと嘆くお声が聞こえてきそうですが、懲りもせずまたまた続きの裏展開w
今回のテーマは、『ルキアへの恋心を自覚し、優しくも強引に早急にルキアの全てを欲するギン』☆
ギンの良い人気遣いエッチは結構したwので、今回はルキアを大事に思いながらも、我慢出来ず欲望のままにルキアを奪おうとするギン。って感じに。
訳がわからず流されながらも、ルキアには思い切りいやいやしてもらっています。その方が私的萌えなので!!
ちなみにこのお話。思いついて書いてみたは良いのだが、またこのパターン・・・と更新は見送ろうと思っていたもの。
しかし!何か更新したいの気持ちにすぐにサルベージ☆してしまいました・・・!
内容的にはいつもとあまり変化なしなので、先生生徒の設定に萌えてもらえれば良いなと願います・・・
2009.9.21

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