『 下校途中 』 恋次Ver



夕日に明るく照らし出された川沿いの土手を、ルキアと恋次は歩いていた。
二人は言葉もなく浦原商店へと向っている。


今日ルキアは学校の多くの生徒の面前で、一護に後ろから抱きつかれながら思い切り怒鳴られた。

『恋次恋次っていい加減にしろ!!!』

それは二人が『付き合っている』との噂に乗じ、悪ふざけで仲良さげに振舞った行為への、
一護の溜りに溜まった鬱積の叫びだった。


すぐ正気に戻った一護は今の行動を抹消すべく、ルキアと恋次に記憶置換の要請をしたが、
どちらも機器を持ち合わせておらず、噂は『一護横恋慕の三角関係』としてあっという間に広まった。


「・・・よー。」
「・・・なんだ。」
「お前持ってたよな?あれ。」
「・・・」

恋次の問いかけにルキアは黙り込む。

あれとは記憶置換装置。
昼休みにポケットから落としたのを拾ってやったのだ。


「残数が・・・なかったからな。」
「・・・そーか。」
「・・・そーだ。」

(嘘つけ。)

ルキアの返答に内心毒づく。
拾った時に確認したら満タンだったのだから。


嘘の下手なルキアは夕日以上に頬を赤くして、やや足取りを速める。

(まっ、そーゆーことだよな。)
皆の記憶を奪わずにいたかったのだろう。

恋次は軽く肩をすくませ、ルキアの足取りに合わせてやや歩幅を広げた。



(・・・まだまだ譲る気もねぇけど。)



恋次はあの男を思わせるオレンジの夕陽を一瞥すると、決意も固く胸中で誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいわけ
 いいように使われる恋次。可哀想でごめん。でもルキアが幸せなら基本OKな子なのでこれでもいいはず!(え)
 恋次には今後も一護のヤキモチの糧になってもらうかもしれません・・・合掌。
 2008.5

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