朝の教室はざわめきに満ちているが、いつもうるさくまとわりつく啓吾が日直の仕事で教室からいない為、
一護はひどく静かで穏やかな時間を、チャドから借りたコアな洋楽の専門雑誌を眺めながらのんびりと過ごしていた。

そこに水色がやってきて、誰も居ない前の席に座ると、一護の机に頬杖をつき唐突に口を開いた。

「ねぇ。やってるの?」

「あぁ?なにがだよ?」






『 冬と春の間の日 』





突然の水色の問いに、一護は見ていた雑誌から顔もあげずに無愛想に返答した。

その態度に業を煮やした水色は、可愛らしい頬を膨らませた。

「もぉ!鈍いなぁ。僕ら健全たる男子高校生がやるっていったら、あれしかないじゃん!」

「うるっせーな!なんだよあれって。」


一護はやっと雑誌から顔を上げ、目の前でむくれた顔をしている水色を睨みつける。

目が合うと水色はすっと目を細め、あきれたように呟いた。

「一護ってさー・・・枯れてるよねー・・・」

「枯れてる?」

「普通すぐわかるでしょ?僕がやるっていったら、女の子相手にすることしかないのに。」

「!!・・・な!何言ってんだよ!てめーは朝っぱらから!!」


やっと水色の言いたい事を察した一護は、顔を赤くして怒鳴る。

しかし水色は全く気にもせず、つまらなそうに溜息をつく。


「一護ってさぁ〜奥手にみえて、本っ当に奥手なんだねぇ。意外せいなくって、つまんないよ。」

「・・・なんなんだよてめぇ。人の事バカにしてんのか?」

「そーじゃないよ。心配してあげてんのにさ。」

「心配?」

「だって朽木さんと付き合って、大体一年たつんでしょう?しかも同じ家に住んでるのにそれでまだってさぁ。実は一護って・・・」

「な、なんだよ?」


嫌なところで言葉を切られ、一護は不安げな顔で水色を見た。

水色はしばしジッと一護を見つめ、それからおもむろに口を開く。



「不能なの?」



「!!!ば、ばかやろう!!ガンガンたつに決まってんだろう?!!!!」



シン・・・



一護は思わず立ち上がり水色に怒鳴りつけると、
激しい一護の剣幕に騒音に満ちた教室は一瞬静まり返り一護の方へと視線を集めた。


「・・・とりあえず、座ったら?」

「!・・・お、お前のせいだぞ?!!」


一護は真っ赤な顔でそれでも素直に席に着き、水色をギロリと睨みつける。

しかし水色はケロリとしたまま、教室に音が戻るのを待つと話の続きを勝手に始めた。


「じゃあなんでさ?したくないの?」

「・・・んな訳ねぇだろう!!」

一護は小さく怒鳴りつけ、それから視線を床へと落とす。
水色は無言で一護を見続け、しばらくすると根負けした一護は小さな声で呟いた。


「・・・どーすればいいのか、わかんねぇんだよ。」

「どうすれば?」

「・・・あいつさ、なんっつーか、やけに無防備なんだよ。」

「無防備?」

「風呂上りでパジャマだけど、全然意識しねぇで俺の側いたり。
でも、手ぇ出そうとすると嫌がられたり。本当に嫌ならそんなことしたくないし。
・・・なんかもう、どうすりゃいいのかわかんねぇんだ。」

険しく恐い顔のまま視線を落とし、顔を赤くして話す友人に水色は心底呆れた声を出す。


「一護って・・・バカだよね〜」

「な!なんでだよ?」

一護は瞬時に水色に視線を移すと、噛み付かんばかりの勢いで怒鳴った。
しかし水色はまったく取り合わず、ずずっと一護の方へと顔を寄せた。

「彼女は本気で嫌がってたの?」

「あ?」

「男がそーゆーことしようとしたら、女の子として少し拒んでみせるのは当然なんだよ?
それを真に受けてやめちゃったら、彼女もその態度崩す訳にはいかなくなるでしょ?」

「・・・そーゆーもんなのか?」

「そーゆーもんだよ。今度はもう少し強引に攻めてごらん。本気で嫌がってるかどうかなんて、その時の顔見ればすぐにわかるもんだよ。」


そう言って笑った水色の顔は、多くの女をものにしてきた余裕に満ち溢れ、一護は唖然として水色を見つめるだけだった。

 

 

そんな話を水色としてから、初めての日曜日。

うまい具合に家族は町内会の親子遠足で朝から夕方まで出掛けており、絶好のチャンスに一護は朝から落ち着かない。

家族を見送った後、ルキアは一護の部屋でベットの上にだらだらと寝そべり、
尺魂界で発売されている大好きなチャッピーグッズが満載の雑誌を夢中になって眺めている。

一護は自然と早くなる鼓動を胸に、緊張した面持ちで階段をあがると部屋に戻る。

少し丁寧に自室のドアを閉めると、知らぬまにごくりと喉がなった。鼓動が早鐘のように高鳴り、耳が痛い。

緊張する。こんなに緊張することは今までなかった。

でも、この試練を乗り越えなければルキアの全てを得ることが出来ない。


欲しいだろう?


内なる声が聞こえてくる。

ルキアの、全てが、欲しいだろう?


再び問われ、一護は力強く胸の中で答える。


欲しい!!!ルキアの全てが、欲しいんだ!


その瞬間、うるさい程高鳴っていた鼓動が静まり、緊張のしすぎで起きた指先の震えも止まった。


そうだ。俺はずっと欲しかった。

ルキアの全てが欲しかった。

だから、これは自然なことだ。

俺がルキアに触れたいこの衝動は、自然で純粋なものなんだ。


だから。


なぁ、ルキア。


俺は十分に待ったはずだ。




もう、許してくれてもいいだろう?



一護はゆっくりとルキアの隣に腰掛けた。

ルキアはそれに気がつき、無防備に一護の方を振り仰ぐ。

「いちーーーー」


一護はルキアの言葉を遮り、自分に向けられたその小さな顔の顎へ手を添え、そのまま唇を重ねた。


「・・・なんだ。突然。」

唇を離すと、ルキアは少し驚いたように頬を染め、困ったような顔で一護を軽く睨んだ。

「嫌なのか?」

「・・・そんなことは、言っておらん。」

一護の隣に座りなおしたルキアは、頬を赤く染めたまま拗ねたようにぷいっと顔を横に向けた。

そんな子供のような仕草、表情、全てが可愛らしくて愛おしい。

でもそろそろ、別の顔を見せてくれてもいいだろう?

本当の意味で、俺しか見れないルキアの顔を見たいんだ。

一護は背けられたルキアの頬を、自分の大きな手のひらで包み優しく自分の方へと向きなおさせる。

そして再びキスを交わすと、そのまま小さく唇を動かして隙間を作り、するりと舌を侵入させた。

びくん

「んんっ!・・・」

その瞬間、ルキアの身体が小さく震え、弱く顔をふり逃げようとする。


しかし一護は両手で頬を優しくも揺らぎ無く挟みこんで、ルキアに逃げ場を与えない。

それにいつもよりやや激しく大胆に舌同士を絡め合わせ、長くその感触を味わった。

「んうっ・・・!ふぅ・・・・んんっ!・・・・ひぃあっ・・・・!!」

いつもより長く激しく舌からの悦楽に、ルキアは堪らず甘い悲鳴があがるのを止めようがない。

一護の舌がルキアの舌に絡みつき、舐められ、吸い上げられると、
ルキアの身体の中心地にジーンと痺れるような快楽の熱い疼きが溜まりだし、ルキアは恥ずかしさと切なさに身を捩って逃げ出そうとする。

やがて一護は顔をあげやっとルキアを解放すると、もうルキアは息を荒く吐き出し、
熱く潤んだ瞳でいつもと確実に様子の違う一護を困惑したように見つめた。


「一護・・・。お主、どうかしたのか?」

「・・・なにがだよ?」

「な、なんといか・・・いつもと、違うような気がするのだが・・・」

「・・・そうだな。俺は確かに、いつもと違うかもな。」


一護は言うなりルキアの細い身体を抱き締めて、その華奢で真っ白な首筋に軽く吸い付きながら、ゆっくりとベットの上に押し倒した。


「!!・・・あっ!」

突然のことにルキアは短い悲鳴をあげ、首を舐める舌の感触にまたしても身体の奥に疼きがおきるのを感じながら、軽く身体を仰け反らした。

「い、一護!どうしたのだ?!一護!!一体なにを・・・!」

ルキアは慌てて一護の両肩を押し返そうとするが、当然そんなことで一護の身体をどかすことなど不可能だ。

一護は構わず舌を滑らせ、首筋から耳朶へ移動して甘く噛む。

「!!ひっ・・!やぁん・・・!!」

ルキアはその初めての感触にぞくりと身体が震え、思わず身をすくませる。

「・・・なぁ。嫌か?」

一護はそのまま耳元で囁く。ルキアの身体がまた震えた。

「お前は嫌か?俺にこんなことされるの、気持ち悪いのか?」

「やっ!・・・そ、そういうわけでは・・ない。」


やけに寂しそうな一護の声に、ルキアは恥ずかしそうに俯きながら、瞳を閉じて身体を震わせている。

「じゃあ・・・いいんだろ?続けても。」

「つ、続ける?・・・ど、どこまで、する気なんだ?」

「もちろん。最後まで。」

未知の行為にやや怯えたルキアの胸に、一護の大きな手が覆い被さると、ルキアの小さな膨らみは完全に手の中に納まってしまった。


「え?・・・・やぁっ?!一護・・・やだ!!」


一護の手が自分の胸を撫でまわす感触に、羞恥にたまらずルキアは泣き声を上げた。

すると、その声に反応した一護の手はぴたりと止まる。

そして間近で、ひどく苦しげで切ない目をしてルキアを見つめた。


「・・・本気で嫌か?」

「い・・・一護?」

「俺にこんなことされるの、本気で嫌なら・・・もう、しない。」

「・・・!」

「本当はもっともっと触りてぇけど・・・それで、お前傷つけるなら、我慢した方がマシだもんな。」

「・・・一護。」

「やれないより、お前の側にいれなくなることの方が、よっぽど・・・辛い。だから、やめる。」

「・・・嫌なわけが、あるものか!!・・・す、好きな男に触れられて、嫌な女がいるものか!!」

「ルキア。・・・だったら、なんで今まで避けてきたんだよ?」


真摯な様子で問われ、もう逃げ場がないと悟ったルキアは俯き、必死な声で一護へと訴えかけた。

「・・・恐かったのだ。そんなことをして、私達の今の関係が崩れることが、その行為が、恐かったのだ。」

「ルキア・・・。」

一護はルキアを少しだけ強く抱き締めたまま、囁いた。

「なぁルキア。恐いのは、俺も一緒なんだぜ?
そりゃ、お前に比べりゃ全然大したことないかもしんねぇけどさ、初めてのことだしやっぱり俺だって恐いよ。
・・・でも、その恐さ一緒に乗り越えていけたなら、俺達、もっともっと固い絆で結ばれるんじゃねぇのかな?」

「・・・一護。」

「な?だめか?」


ルキアは俯き、真っ赤な顔で小さく顔を横に振る。

一護は許しを得て、早速ルキアのシャツのボタンに手をかけた。

しかしルキアは狼狽し、その手に上に自分の手を重ね、慌てて一護の手を止めた。

「?!ま、待て!!一護!!!」

「・・・んだよ。この後に及んで、まだおあずけなのか?」

「そ、そーゆーわけではないのだが・・・」

一護は行為の中断に不服げに眉間の皺を深くする。

ルキアは両手で一護の手を押さえたまま、言いにくそうに顔を赤くし、ずっと俯いている。

「んじゃ、なんだよ?」

「そ・・・その。・・・・わ、私の・・・なんだが。」

「あ?なんだ?」

ルキアの声はどんどん小さくなっていき、語尾はほとんど聞こえない。

「だっだから!・・・わたしの・・・む・・・ね・・なんだが。」

「?なんだ?むね?」

「・・・そうだ。・・むね・・・だ。」

「どうしたんだよ。むねが、どうかしたのか?」

「・・・・さいんだ。」

「なんだよ?聞こえないんだけど?もう少しハッキリ言えよ。」

早く事を進めてしまいたい気持ちに急いて、どうしても隠し切れない苛つきを含んだ声で一護が言うと、
ルキアはキッと一護を睨みつけ、大声で怒鳴りつけた。


「小さいんだ!!」

「・・・はっ?」


「だから、私の胸は、小さいんだ!!・・だっ、だから・・その・・・」


ルキアは顔を真っ赤に顔を染め、涙ぐみながらも何か言おうとしている。

一護はしばし放心し、それから突然大声で笑い出した。

「・・くっ!あははははっ・・・・!!」

「な?!わ、笑うな一護!!貴様は・・・!!!」

ルキアは本気で涙ぐみ、爆笑している一護へと殴りかかった。
一護はその手を易々と受け止める。

「悪い悪い。・・・お前も、女なんだよな。悪い。笑って本当に悪かったって。」

「〜〜〜もういい!笑うような奴には、もう絶対に触らせない!!さっさと離れろ!」

「やだ。」

「な・・・!」
一護は微笑み、逃げるルキアを抱き締めた。

「本当に、笑ったりして悪かったよ。あんまり可愛いこと言い出すから、どうしても抑えられなくてな・・・」

「か?!可愛いだと!!」

「そりゃ可愛いさ。そんな事気にしてるなんて。・・・胸の大きさなんて、関係ねぇよ。
俺が触りたいのは、大きな胸なんかじゃなく、好きな女の胸なんだから、大きさなんて気にすんなよ。」


好きな女と言われ、ルキアは真っ赤な顔をして顔を背ける。

本当に、可愛い。

大笑いしたことにより、一護の気持ちも軽くなり、早速とばかりに再びボタンを開けはじめた。
しかしそれに気付いたルキアは狼狽して怒鳴った。

「な?!い、一護!こら、なにをしている!!」

「もう、お前が何言っても待たねぇぞ。」

見る間にボタンは全て外され、そのまま一護の手は下着の上からルキアの胸を撫でまわす。


「!!・・・・あっ!」

「・・・柔らけぇ。」

「やっ・・・うんっ!・・・い、一護ぉ・・・」

「すげー・・・お前の胸・・・最高だな。」

「な!ばっ、莫迦もの・・・!・・やっ・・・あんっ!!」

一護の手はささやかな膨らみを覆うブラを押し上げ、直接胸を揉みしだく。

「やぁっ!・・・はっ!・・・んんっ・・・ふっ!」

一護の手は優しく強くルキアの胸を撫で、その頂きを摘んでこねる。

それにあわせて、ルキアが聞いたことも無い甘い声で恥ずかしげに喘ぎを漏らす。

その感触、表情、声に、一護の頭の奥までじんと痺れるような感覚に陥った。

ここまでくれば、一護にももう迷いはない。

手順を知っているわけではないが、そこはもう男の本能がおもむくままに行動する。


「ルキア・・・」

「・・・んっ!」


一護は胸を撫でながらルキアの唇を重ね、舌を合わせた。

そうすることにより、どんどん欲望が加速していく。

欲しい。欲しい。ルキアの、全て。


一護はルキアのシャツを剥ぎ取り、ゆっくりとルキアの身体をベットの上に押し倒した。

「い・・一護。待って・・・!」

「待たねぇって、言っただろ?」

ルキアがか細い声で叫び、それから懇願するように弱弱しく呟いた。

「頼む。カーテンを閉めてくれ。・・・明るすぎて、恥ずかしいのだ。」

一護は軽く溜息をつくと起き上がり、すぐにカーテンを引きルキアを見下ろした。

「・・・最後の、タイムアウトだぞ。」


一護の言葉にルキアは観念したように、瞳を閉じて小さく頷いた。




 

舌が絡まる。二人の身体が重なり、触れ合った場所から熱があがる。

明るい日差しの、穏やかな休日の午前中。

そんな外の明るさとは裏腹に、一護の部屋では二人の熱を帯びた蜜事が行われていた。

二人の中にあった遠慮や気恥ずかしさは少しずつ削がれて、今はもうお互いを求め合う思いのみが残っていた。

一護が夢中でルキアの舌や胸の頂きを吸い、それに共鳴してルキアは甘い声をあげる。

折れそうに細く華奢な裸体を前に、一護は興奮で眩暈を感じそうになる。

細すぎて無駄な肉など一切なさそうなルキアの身体は、裸になると意外に柔らかな曲線を描いている。

白くて小さくて折れそうに細くて。

その全てが堪らず、一護の本能を駆り立てる。

大切にしたくて、でも、滅茶苦茶にしてしまいたくなる。

なんなんだろうな、この本能は。自分でも、わけわかんねぇよ。


「ルキア・・・もう、いいか?」

「・・・ん。」

ルキアは目を伏せたまま、小さく頷く。

細い足を割り広げれば、そこには恥ずかしげに息づく蜜に濡れた花びらが潜んでいる。

「やぁ・・・み、見ないで・・・くれ。」

「見せろよ。お前の、全部。・・・俺だけに。」

「一護・・・!」

そこに分身を押し当て、ルキアは緊張で身体を強張らした。

「・・・力、抜けって。そうしないと、痛いらしいぞ。」

「う・・・うむ。」

それでもルキアは緊張し、そして一護も緊張していた。

熱い蜜で濡れた花びらの上から、納まるべく蜜壷の入口を探る。

分身に擦られたそこからは、くちゅくちゅと水音がする。

やべぇ。これだけで、こんなに気持ちいいのかよ?!

分身から伝わる、その襞の濡れてぬちぬちとした感触に、一護のボルテージは一気に加速する。

早く早くルキアと繋がりたい。心も身体もひとつになりたい。

更に押し付けると、頭が僅かにルキアの中へめり込み、一護は収まるべき入口を知った。

「・・・いくぞ。」

「!!・・・・・っく!・・い・・・痛っ・・・・!!あぅっ!!!」

一護がその一点を目指し体重をかけ押し付けると、ルキアはそこが押し割られる痛みに顔を歪めた。

それでも一護の分身はゆっくりとルキアの中に埋まっていき、
一護は一護で初めての感覚に男としての優越感に緊張以上の喜びに胸が沸き立つのを抑えられない。


それでも自分の下で痛みに必死で耐えるルキアの姿に、一護は瞬時に我に返った。


「・・・ルキア。大丈夫か?」

「・・・へ、平気・・・だ。・・・・っく!」

ルキアは固く瞼を閉じ、涙を流して痛みに耐えている。

痛々しいのに、俺のためにそこまで我慢してくれるのかと愛しい思いが溢れ、一護はそれ以上の侵入を一旦やめ、ルキアの唇に軽く触れた。

「ごめんなルキア。痛い思いさせてごめん。・・・でも俺、今すっげー嬉しいんだ。」

「・・・い・・ち・・・ごぉ?」

恐る恐るルキアは目を開け、間近にある一護の顔を眩しげに見上げた。

一護はやや気恥ずかしそうにしながらも、笑ってルキアを見つめ返す。

「やっとお前と、ひとつになれた。それがすげー嬉しい。・・・・でも、な。」

一護は少し悲しげに微笑んだ。

「・・・ルキアが嫌なら・・・やめても、いいんだぞ?」

「・・・・え?」
思いがけない言葉に、ルキアは一瞬痛みを忘れ、一護を見上げた。

「痛いんだろ?・・・そりゃ痛いよな。こんなもん挿れられて・・・。だから、ルキアが嫌なら俺・・・」

ルキアは一瞬唖然とし、それからひどく可笑しそうに微笑んだ。

こんな状態になってまでそこまで私を気遣うとは、どこまでお人好しな上に莫迦なのだろう。

その言葉にルキアは泣き笑い、一護の頬を小さな両手で包み込む。

少しだけいつもの強気な口調で、一護の瞳を覗き込む。

「ここまでしておいて、今更やめるのか?女に恥をかかせるものではないぞ?・・・それに。」

ルキアは一旦目を伏せ、小さな声で呟いた。


「・・・私だって・・・ちゃんとお前と・・ひとつに・・・・なりたい。」

「!!・・ルキア・・!」


そしてそのまま一護の顔を自分へと引き寄せ、また熱い口付けを交わす。

大分緊張の解けたルキアの身体に、再び一護が侵入を開始すると、間もなく分身は全て収まってしまった。

「!っく・・・すげ・・・きついな。」

「・・・んんっ!・・・はっ・・・挿って・・・る・・・」


一護は自分を締め付けてくる圧迫感に驚き、ルキアは自分の中へ割り入ってきた異物感に驚いた。

一護を全て受け入れて、ルキアの身体は小刻みに震えている。

結合部は熱い熱を放っており、少しの振動でもどちらも敏感に感じ取るほど過敏になっていた。

熱い熱と、痛みと、初めての結合に一護もルキアも鼓動が激しく高揚していく。


「・・・う、動くぞ。」

「あ!・・・や!・・・ゆ、ゆっくり・・して、くれ・・・!!」

一護が恐る恐るといった具合に、ゆっくりと腰を動かし始め、ルキアは唇を噛み身体を揺らすその衝動に耐えていた。

やべぇ・・・なんだこれ?!・・・すげぇ、気持ちいい・・・!

一護は注意しないと暴走し、衝動的に打ち付けてしまいそうになる腰の動きに注意しながらも、
ぬるぬると熱く滑りで蠢きながら、きつく締め上げてくるルキアの中を擦り生まれる初めての快楽に、夢中になってしまいそうになる。

自分で得る快楽とは全く別物ので、相手が最も愛おしい人であれば尚更快楽も高くなる。

「うぁっ!・・・ひっ!・・・んんっ・・・・やぁっ!・・・・」

しかしルキアは快楽よりも痛みの方が強いらしく、眉ねを寄せて身体を貫く衝撃に必死で耐えている。

一護は申し訳ない思いをもちながら、もう知ってしまった新しい快楽に、この動きを止めることは不可能。

だから出来るだけ自分の動きを制御し、ルキアの様子を見守り、時々舌や胸を吸いあげ、痛みから気を逸らしてやる。

今まで知らなかった興奮と熱と淫靡さに、少年は夢中になって愛しい女の身体を揺らし続ける。

そのかいあってか、しばらくするとルキアの固い表情が僅かに甘さをはらみはじめていた。

「ふぅっ!・・・あんっ!・・・あっ!あっ!・・・・もっ・・・だめぇっ!」

「!うぁっ・・・!ルキア・・・俺も・・・いくぞ・・・少しだけ・・・我慢、してくれ・・」

ルキアの口から甘い悲鳴があがり、一護も己の限界を告げると、気遣い制御していた動きのリミッターを解除した。

「!!うぁっ!やっやっやぁっ・・・!だめっ!・・・だめぇぇぇ・・・・!!」

「っく!ルキア・・・・!!」


ルキアは激しい律動に鋭い叫びをあげ、一護はその声を聞きながらルキアの中へと全てを放った。

それから一護は、押しつぶしてしまわないように気遣いながらルキアの上に倒れこみ、荒く息をつきながら抱き締めた。

「・・・ルキア・・・大丈夫か・・・?」

一護に問われ、やはり荒く息を弾ませたルキアは言葉が出ず一護の腕の中で小さく頷いた。

「そうか・・・悪いな。・・・無理、させて・・・。」

一護がルキアの頭を撫でると、ルキアは横に顔を振る。

そして涙で熱く潤んだ大きな瞳で一護を見上げ、とても嬉しそうに微笑んだ。

「一護。・・・お前は、謝り過ぎだ。・・・お前が私に言う言葉は・・・そうではないであろう?」

「・・・ルキア。」

そして二人はどちらからともなく自然と口付け、唇を離すとごく間近で瞳を見合わせる。

「ルキア。・・・愛してる。」

「私もだよ。・・・一護。お前を、愛してる・・・。」

そしてまた唇が引き寄せられ、愛の言葉を固定するようにそれは深く絡みつく。

二人だから得られる快感。

この人だから感じる悦楽。

それは二人でしか得ることも感じることも出来ない、二人だけの秘密の蜜事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏 top

いいわけ
 Four Seasonsの番外編。やっぱりきました裏版です!(笑)
 一応アンケートの2位が『裏版』だったので、テーマは『ラブラブ』な『裏版』です。
 あのままでいけば冬には裏に・・・と思われた方もいらっしゃるのでは?
 だからです!私がエロ好きなのを踏まえ、裏にはしるだろうとの期待を裏切りたく、
 番外編との形で二人の初体験を表現させて頂きました。
 あと、冬だけ裏で表は3つなんてちょっと・・・ねぇ・・・みたいな☆
 内容的にはまぁまぁな感じでしたが、いかがでしたでしょうか?
 ちなみに背景の花はチューリップ。のはずです。
 冬と春の間の三月頃の花を使いたかったのですが、あまりパッとした花がなかったので・・・
 花言葉が『永遠の愛』『恋の告白』『思いやり、真面目な愛』
 とてもイチルキにぴったりだと思います☆
 2008.10.31

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