真昼間だというのに一護の部屋は、固くカーテンで閉ざされている。

「あっ、はあんっ、ふうっ・・・あっ、いちっ・・ごぉ・・・」
部屋の中では甘い喘ぎを繰り返すルキアと、彼女の唇に狂ったように吸い付く一護がいた。





『 黒い嫉妬 』





外の爽やかな気候とは対照的に、部屋は湿った淫靡な空気が充満しているようだ。

「やぁっ・・・もっ、やめっ・・・」
艶やかにとろけて制す声に一護が応じる訳も無く、もう十分以上この行為は行われていた。

(くそっ・・・!!)
自分でもどうしようもない怒りの炎は、まだまだ消えそうに無い。

浦原が悪ふざけでルキアの口元を舐めた。
それだけなのに。

浦原のタチの悪い悪戯に、笑ってすます度量のない自分がくやしくて仕方がない。
その怒りの矛先を愛しい彼女にぶつけるなんて・・・
浦原が触れた口元を、消毒するが如く何度も舐める。

(俺って・・・情けねぇ・・・)

自分の舌で甘く乱れるルキアを、一護は薄目を開けて確認する。
ルキアは長い睫毛まで震わせ、全身で一護を感じていた。
雪のように真っ白い肌を桃色に火照らせ、舌から与えられる刺激に共鳴するように小さな鼻腔から荒く息が抜け、
口元からは絶えず甘い喘ぎをあげている。

なんて愛らしくいやらしい。
ルキアを感じると抑えきれない感情が湧き出て止まらない。
誰にも触れられたくない。

「ルキア・・・」
一護の呼びかけにルキアはゆっくりと目を開ける。

涙で潤んだ菫色の大きな瞳。
その瞳に俺だけが映し出されることの至上の喜び。
こうできるのは俺だけなのに。

胸の奥ではまだ嫉妬の炎がくすぶっている。
俺の目の前であんな事が・・・!!

「ルキア・・・欲しいんだ。くれよ。全部。」
宣言するとルキアの服のボタンに手をかけた。
このつまらない嫉妬心を潰す位に抱き合いたい。

「あっ・・やぁ・・・」
恥ずかしさから口だけは拒んでみせたが、すでにルキアも淫らな期待に満ちているのがわかる。

なんなく服が脱がされ、ルキアは下着だけの姿にされた。
何度見てもこの瞬間は興奮を覚えた。
期待か不安か彼女の身体はこの時いつも小刻みに震えている。
怯えているのかと思うと、その瞳は妖しい光を宿し一護を射抜く。


(死神じゃねぇな。こりゃ悪魔だ。)
悪魔に魅入られてしまった男に未来はない。
悪魔に生涯を捧げる以外には。

一護もTシャツを脱ぎ捨て、目の前に佇む悪魔を抱き締めた。

肌と肌の触れ合いから生まれる安心感と、それを上回る激しい欲情。
一護は滑らかな肌を耳や首筋、背中までも存分に舐めあげながら、
手も休むことなくいたるところを撫で回す。

ルキアは再び固く瞳を瞑り、与えられる快感に翻弄され喘ぐだけだ。

「ひゃあんっ!」
ルキアの口から一際高い叫びがあがる。
ブラジャーを押し上げ、直に胸を蹂躙されるその刺激に身体が跳ねた。
小ぶりながらも綺麗な形をしたこの胸は、頂を桜色に染め、男を誘うように身を固くしてそそり立つ。
その両胸の頂を指で挟みこむと、強く弱くしごきそれにあわせてルキアは啼いた。

「はぁんっ!!あっ、あっ、あぁん!やっ、やあぁぁ・・・」
ルキアの内にあの熱が巡りだす。
刺激による欲情の熱は、蜜を生む秘所を狂おしく切なくさせる。

本能的にルキアは思う。
(・・・挿れて欲しい。)
一護に胸を吸われ性急に膨らむ欲情に、尚一層の切なさでルキアは喘ぐ。

しかし挿れたい気持ちは一護も一緒だ。

淫らしく啼き濡れるルキアの姿に、分身も限界寸前だ。

それでも頭の片隅で極めて冷静な意志が働き、
(これ位では解放出来ない。)
と、まだまだルキアを攻める事を強要していた。
それは心に巣食った嫉妬の意志とも言えるのではないだろうか。

とにかく一護は驚異的な粘りをみせ、ルキアの身体を侵食していく。
「すげー・・・ルキア、濡れ過ぎだろ。」
一護は満足して微笑み、蜜でベタベタになった割れ目を下着越しに指で何度も何度も撫で擦る。

「ふあぁぁんっ・・もっ、もうっ・・もうっ、らめっ・・ひゃうんっ!」
すでに限界に近づいたルキアは呂律も怪しくすすり泣く状態だった。

下着越しに愛撫を重ねた指をルキアの頬に押し当て、一護は意地悪くも優しく囁く。
「・・・自分で脱げよ。」

荒く肩で息をし恥辱の為ルキアは一瞬逡巡したが、羞恥心よりもこれ以上の快楽を身体が欲し、
なにも考えられない状態で必死にショーツを脱ぎ捨てた。
すでに体中から力が抜け、一護の支えがない今、寝そべった姿で秘所が露になる。
ルキアの秘所は一護を求め、蜜をしとどに溢れさせながら男を誘う匂いを振りまき、密やかに息づいていた。

まるで蜜蜂を誘い込む妖艶な花。

その誘惑に勝てることなく、一護は花の中心地へ濃密な口付けを交わす。

「やはぁぁぁんっ!!」
ルキアは感じすぎておかしくなる。
欲情の熱は赤色から黒く燃える炎になり、激しくルキアを内部から焦がす。

ぐちゅ、ぬちゅ、くぷっ・・・


粘着質な水音が派手に響き、一護の指も舌も蜜で濡れきっていた。
小さく隠れていた敏感な蕾をつつかれ、激しい快楽の感覚に気が狂いそうになる。

拷問にも近い愛撫を一護はまだやめてくれない。

(早く早く・・・)
無意識に腰を揺らし、ルキアはひとつのことしか考えられなくなっていた。

一護は初めて指を2本に増やすと、いつもは1本でもキツイ泉の奥へ突きたてた。
ぐぷぷぷっ・・・
ぬるぬるに濡れきったそこは難なく二本の指を飲み込んだ。
一護はその様子に安心し、いつもよりはやや乱暴に指を出し入れするがルキアはよがり声を出すだけで、全く痛さを訴えない。
(こんなに濡れてりゃ大丈夫か・・・)
指で花びらをぐちゅぐちゅと割りながら、再び桜色の頂を吸い優しく歯を立てる。

その刺激はルキアの理性を消し去り、溢れる欲情で本能を剥き出しにさせる威力があった。

「いちっ、いち、ごっ、挿れて、お願い、早く挿れてぇ・・・」


強要もされていないのに自ら泣いて挿入を懇願するルキア。
淫らしく背徳的な姿に一護は芯からゾクゾクした。

その姿はまさに悪魔。

美しく淫らな悪魔。
この悪魔から生涯決して逃れられはしない—————

今や暗い嫉妬心は満ち足りた征服欲に消し飛んでいた。

「いいぜ、挿れてやるよ・・・」
最後の仕上げとばかりに意地悪な事を耳元で囁くと、小さなお尻を掴みバックから一気にルキアの中へ侵入する。

ぐぷんっ!
やけに大きな音をさせ、一護の肉棒はルキアの蜜壷へ収まったその瞬間。

「ひぃやぁぁぁんっ!!」

ルキアは細い身体を仰け反り、軽い絶頂を迎えた。

「ルキア、動くぞ!」
まだピクピクと身体を痙攣させ、意識も朦朧としていたルキアに構わず腰を打ち込む。

「っ!!あっ、あっ、あっ、まっ、まだぁ、だっ、め、まっ、あんっ!待って・・・」
完全に力が抜けたルキアのお尻を持ち上げ、一護は容赦なく腰を振る。
一護もとっくに限界を越えていた為、本能のままに激しく腰が動いていた。

ばちゅん、ぱちゅ、ぐぽっ・・・

ふたりの結合部から一護が動くたび、淫らな水音が響いている。
ルキアの蜜は太ももへと流れ出すほど溢れ、一護の肉棒をぬらぬらと滑らしながら、きゅうきゅうと締めつける。
バックから激しく攻め立てられ、絶頂で一度は治まった欲情が再びルキアの中に宿る。

「ひゃぁんっ!・・・ふああっ・・・らめっ、らめっ・・・きもち・・いいっ」

「・・・俺っ、もっ・・・すっげぇ・・いいっ!!」

そのまま果ててしまいそうになり、一護は気力を振り絞る。
深くルキアの中に繋がると、そのまま身体を反転させ顔を見合わせた。

こんなにエロい顔のルキアを見るのは初めてだ。

耳まで赤く染めながら、大きな瞳は焦点があわずどこかを彷徨い、涙が頬を濡らし、
荒い息遣いで口はだらしなく開いたまま、おまけに唾液が流れ出ていた。

(限界・・・だな)

神がかりな忍耐をみせた一護も、さすがに限界を感じた。
正常位になりルキアの顔を見ながら果てたかった。
腰を掴むと小刻みに早いリズムで律動を繰り返す。
その動きに合わせ、ルキアも高い声をあげた。

「っ!!っつくっ!!!」

ラストスパ-トと最速の速さで腰を打ち付けると、一番深く繋がった状態で静止しルキアの中へ全てを放った。
びくんっびくっ・・・
一護もルキアも痙攣のように全身を震わせると、半ば気を失うように抱き合いながら眠りに落ちた。

 

 

翌日二人は再び浦原商店の前に立っていた。
ルキアは緊張し、一護はひどく不機嫌な顔をして。

眠りから覚めた一護は、ルキアを腕に抱きながら語りかける。
「もう浦原ん所に行くんじゃねぇぞ。」
「それは・・・できん。」
心底困り果てた顔で、しかし妙にキッパリとルキアは言った。

「?!はぁっ!!!」

予想外の返答に驚き、すぐに一護はルキアの顔を覗き込む。
ルキアは申し訳なさそうに、目線を下にしたまま懸命に釈明する。

「私が現世にいる限り、あやつの扱う商品は絶対に必要なのだ。
だから行かない訳には・・・いかん。」

(なんつーか・・・)

毒気を抜かれ一護はルキアをまじまじと見つめた。
ルキアの言い分はもっともだ。
一護も本当の本気で言ったつもりもない。(少しは本気だったのだが。)
しかしあの事が原因で一護は激しく怒り、その怒りを鎮めるため更に激しく交じり合った後なのに。
この場だけでも「うん」と言っておけば良いものを。

(馬鹿正直なんだよなぁ。)

妙な感心を覚え、愛しいルキアのおでこに軽いキスをする。
仕方ねぇ。こーゆーの『惚れた弱み』ってゆーんだよな?

「・・・じゃ、絶対一人では行くな。」
「わっ、わかった・・・」
ルキアは真っ赤になりながら腕の中で素直に頷いた。

 

「いっ、いるかー?!」
少しビクつきながらも、ルキアは誰もいない店内へ叫ぶ。

店には一護が先に入り、その後にルキアが従う。
浦原の触れる距離に置いたら、また何をされるかわかったもんじゃないからだ。

「アララー、こりゃ予想外のお客様ですね。」
障子が引かれ浦原が顔を覗かせた。
一護はますます不機嫌な顔で、気付かれないように舌を鳴らす。

(顔を見るとやっぱムカつく・・・)

一護を挟んで二人は商品について話し始める。
その不自然さに浦原はあえて突っ込んでもこない。
わかっていますよ。とばかりのその態度が一護の苛つきを容赦なく煽る。

「よしっ!では帰るとしよう!!」
無駄話も一切せず、必要な商品をポケットへしまいルキアは踵を返し外へ向かおうとする。
ルキアなりに、明らかに機嫌が悪くなっていく一護を気遣っていたのだ。
一護は浦原を睨みながらも、ゆっくりとルキアの後を追おうとした。

「そんなお急ぎにならず、お茶でもいかがですかー?」
ニヤつく口元を隠しもせず、浦原は声をかける。
それはまだ遊び足りないとでも言いたいように。

ルキアはひどく狼狽して一護を見上げ、おろおろと意味不明に手を振った。
一護はその場に固まって浦原を凝視する。

帽子の影に隠れた目が、らんらんと光って見えた。

(野郎!!)
ついに一護はキレた。

「いっ、いや!!結構だ!!忙しいのでもうかえ・・・きゃっ?!」
ルキアは慌てふためき言い訳をすると、両手で懸命に一護の腕を引く。
その腕を逆に一護が掴み、自分へと抱き寄せルキアの顔を上向かせると突然深く口付けた。

「?!んふっ!!うむっ、ふうっうっ?!」
ルキアは驚愕に目を見開きながら、塞がれた唇で何か言おうともがいていた。
浦原といえばさすがに驚きを隠せず、目をまん丸にして二人を見守る。

ちゅぴ・・くちゅ・・・
すぐ口元からは、舌同士が絡み合う耳慣れた水音が漏れ出してきた。

「ふくっ!うぅっ・・はふぅっ・・・」
人前という羞恥心から、喘ぎを殺そうとルキアは必死だったがどうしても溢れてしまう。
色白なルキアの肌は見る間に耳まで真っ赤に染まり、その場に崩れ落ちそうになる。

そうなってやっと一護はルキアを解放した。

一人で立っていることさえ出来なくなったルキアは、一護の胸に倒れこみ荒い息遣いで放心状態だった。
ルキアを抱えあげると一護は浦原に向き直り、にやっと笑ってみせて言った。

「こーゆーことなんで、あんまり手ぇ出してもらうと困りますから。」
「・・・それはそれは、気付きませんで。失礼しました。」

驚きから立ち直った浦原の目は、もう笑ってなどいなかった。

なかなか、やりますね。

一護は浦原の意志を感じとると、ルキアを抱えたまま店を出る。
今日は浦原の声は追ってこなかった。

(一応勝ち・・・だよな?)

一護は正気に戻ったルキアから本気で殴られる事を覚悟しつつ、
気持ちの良い昼下がりの道をのんびり歩きながら家を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏 top

いいわけ
 これはパッと思いついたわりには、面白くまとまったと自己満足できた一品です!(本当に自己満でしかない)
 浦原さんていい存在ですよね。シリアス・コメディなんでもOKな役者さんで思い通りに動いてくれます。
 本当はルキアともう少し本気で絡ませてみたい気はするんですが、私の中の一護が怒るのでやめておきます(笑)
 2008.5

material by 戦場に猫

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