『 積ミキ あソび 』

高く積んでは簡単に崩してしまう。

ただただそれの、繰り返し。

君との恋は、まるで、終わりのない、不毛で無意味な積み木遊び。のよう。





ルキアは表情も険しく、あからさまに近づくなとその大きな瞳を怒らせている。

そこまでルキアを苛立たせた人物は、肩をすくめて大袈裟にヤレヤレと態度で示す。


「そないに怒らんでもええやん。ただ、ちょぉそう思っただけなんやし・・・」

「私は怒ってなどいません!」


ギンの言葉など皆まで聞かず、ルキアはさっさと会話を切り上げこの場を去ろうとしている。


ーこのまま帰すのか?

ーまさか。そんな訳あらへんよ。


瞬時にギンはルキアのその細い腕を掴み、にっこりと微笑みかけたが、ルキアの態度は益々硬化していく一方でつけいる隙もありはしない。


ギンは心底不思議に思う。

(僕はルキアちゃんが大好きなのに、なんでこんなに怒られることばっかりしてしまうんやろ?)

自分の愛情表現の歪みに気付かぬギンは、本当に本当に不思議でならない。

ギンにしてみれば、どうでもいい相手には挨拶すら億劫であり、それを踏まえてルキアに対する自分の態度は恋する相手に向かって正常な行動でしかない。

例えそれが、相手にしてみれば不愉快極まりない対応の数々であったとしても。

好きだからかけるちょっかいが、限度を越えた嫌がらせであってもギンにとっては関係ない。

好きだから加減が出来ず、いつもいつもルキアを不快にさせていく。


たまになんとか気遣い、通常の会話を成立させていても、最後には調子に乗ってやはりルキアにとっての地雷を踏まずにはいられない。

自分の悲しい習性に気付いてないまま、ギンはルキアを求め続けた。


「なにをなさるのですか?!この手をお放し下さい!!」

一応は隊長であるギンへ言葉遣いは気にしているものの、ルキアの態度にギンへの敬意は微塵も感じない。

ギンは小さく息をつき、なぜこんなにもルキアが怒るか、先ほどかわした会話を考えてみる。
しかしギンには、まるで検討がつかず、手を掴んだまま途方に暮れた。


今やこの恋の積み木は木っ端微塵に砕け散り、もうお城をつくることもままならない。

積み上げる術をなくしたギンは、どうしたものか思案した。


そして、やはりニッコリとルキアに微笑みかけると、ギンはいきなりルキアの唇を奪った。


さすがに予想外の展開に、ルキアは唖然として目を見開くばかり。


ー積み上げることが出来ぬのならば、全部集めて閉じ込めてしまえばいい。


ギンは自分の出した結論をいたく気に入り、夢中でルキアの唇を貪り尽くす。

哀れなルキアはこの後の自分の運命も知らず、ただただ今はギンの唇と舌に翻弄され、上げれぬ悲鳴を喉の奥で叫んでいた。





gin top

※似たような展開ばかりで申し訳ないとは思います。でも、でも、好きなんです!強引にルキアを求めるギンがぁぁぁ(魂の叫び)
2008.8.30

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