ゆらり

闇の中、炎が揺れた。

なんだろう?あれは?
ルキアは訝しく思いながら、ゆっくりとその炎へと近づいていく。
そして近づくにつれ、それは一輪の華であると気がついた。

もちろん普通の華ではない。

どこまで伸びているのか、闇の中どこまでも伸び浮かんだ茎の上で、
花びらにあたる部分にゆらゆら揺れる炎が灯り、
周囲にむせるように甘く蜜の香りを振り撒いている。

そこでルキアは自分が蝶になっていることにも気がついた。
自分は、あの華を求めている。

あの華の蜜が、欲しいのだ。






『 蜜  毒 』





しかし、それを求めるということは、この身が焼け落ちることを暗示し、
その上、蜜が猛毒であることも知っている。

そこまで分かりきっていながら、蝶のルキアは迷うように華の周りを舞い飛んだ。

だめだ。あれは、炎。

だめだ。あれは、毒。

なのに、
なぜ私は惑うのだ。
近づけば、触れれば焼け落ちるとわかりながら、なぜ背を向け去ることができない。

それは心の奥底で、求めているから。

欲しい欲しいと力の限りに泣き叫ぶまで、あの華を、蜜を、求めて止まない。

それは、毒。

黒い、黒い、闇のように黒く染まった、甘く危険な、黒い蜜。











髪を撫でられる感触に、ルキアは僅かに眉を寄せた。
しかしその動きは止まらず、優しく丁寧にすき梳くように撫でつづける。

大きな手だ。

頭に乗せられた手のひらの面積の広さを感じ、それが男のものであるとわかる。
ルキアはまだ動かぬ身体を横たえたまま、少しずつはっきりと意識を取り戻していく。

眠る自分の頭を、誰が撫でているのだろう。
高潔なる兄であるはずはないし、だからといって恋次が寝ている自分の側にいるはずもない。

では、誰が?

頭を撫でていた手は、次に頬をひと撫でし、そのまま首筋をなぞり、
キチンとあわせられた着物の襟元に迷いなく滑り込んだ。

びくん!

ルキアは驚きに目を見開き、手を払いながら慌てて身を起こすと、反射的に後方に大きく飛びのいた。

「誰だ!貴様!!」

力一杯にそう叫べば、まだ目覚めきれていない身体がこの動きについていけず、
ルキアはぐらりと身体が傾ぐひどい眩暈を感じると、俯きがっくりとその場に膝をついてしまう。
ぐらぐら揺れ動く頭を抱え、はぁはぁと息を乱したルキアの俯き狭い視界の端に、
袴と足袋が音も無く近づきすぐそばで立ち止まる。

激しい憤りと混乱に、ルキアは歯を食いしばり、この不遜な輩を睨みつけようと顔を上げた。
そして、目にした男の姿に、唖然として口が開く。



「やぁっと起きてくれたんやねぇ。僕待ちきれんから、一人で始めようと思うとったんよ?」


「・・・市丸・・ギン・・・!!」


静かで狭く、薄暗い室内。
部屋の中には先程までルキアが横になっていた一組の布団が敷かれ、
その側にはギンの飲んでいた徳利が転がっている。
ギンの後方から小さな炎が灯されており、その火を背にしたギンの表情も霞む視界に暗く見難くあったが、
そんなことは確認するまでもないまでに、ギンの声は喜びに弾むようなリズムを刻む。

ギンを確認したルキアは今度は絶望からくる眩暈に再び俯き、
膝だけでなく耐え切れず片手をついて身体を支える。
身体の不調と精神的ダメージに、己の足元へ平伏すような格好で、
ひどく荒く息つくルキアの姿に、ギンは見下ろしたままとても満足げに声をかけた。

「あかんなぁ、ルキアちゃん。いっつも言うてるやろ?僕のことは市丸隊長って呼ばなあかんよ。」

「・・・き・・さま!!私に、何をした!!!」

「なんもしとらんよ?
僕が十三番隊隊舎に着いた時には、もうルキアちゃんは倒れておったんやし。
せやから僕がここに連れてきて、わざわざ介抱してあげてたんやないの。」

「なん・・だと・・・?」

ルキアは苦しげに自分の襟元をきつく握り締めながら、歯を食いしばりギンを見上げた。
まだ視界不良の中でありながらも、立っているギンの口元だけが、やけにハッキリと弧を描く様が見て取れる。

「ルキアちゃん。きみもっと用心したほうが、ええんとちゃう?
飲み残したお茶ん中に、何が入っとるかなんて、誰もわからんよ?」

「・・・!お、お前・・が・・・!!」

「あんまり興奮したら、身体に悪いんやない?ええから少し落ち着き。・・・今、水飲ませたる。」

「・・・!!やっ!や・・・だっ・・・んっ・・・んんっ!」

ギンは袂から小さな小瓶を取り出し、それを口に含むとすぐにルキアを引っ張り立たせ、
口移しに無理矢理なにかの液体をルキアの中へと流し込む。
当然ルキアは抵抗するが、ただでさえ力が抜けた状態で暴れてもあまり意味はなく、
僅かに口に残った液体を垂れ流し、死覇装の襟元を濡らすだけだ。

「ほぉら。行儀悪ぅしたもんやから、こぼれてしもうた。
・・・まぁええか。どうせ、すぐ脱ぐようになるんやしな?」

「・・・あっ・・・つぃ・・・!き・・・さま・・・。な、何を・・飲ませたぁ・・・」

ただでさえ睡眠薬と思われる薬の効力も抜け落ちぬうちに、新たに怪しげな甘すぎる液体を飲まされ、
ルキアは不安と怒りに発熱したように熱くなる自分の体を抱きしめ、よろよろと後ろに下がる。

「もう効いてきたん?ずいぶん早いもんやね。危ないもんとちゃうよ?
これ飲むとなぁ、ずいぶん気持ち良ぅなるらしんよ?」

「な・・!なんだと!?・・・あっ・・・あぁっ!?
・・・やっ・・・あつ・・身体が・・・熱いっ・・!!」

堪らずその場にへたりこんだルキアは、火がついたように燃える熱さに身悶える。
それは単に身体が熱いだけの話ではなく、特に下半身の奥底に今まで感じたことのない、
激しい女の欲望の疼きに犯されていた。

当然その効能を知っているギンは、顔を赤らめビクビクと震えるルキアの姿を涼やかに眺めつつ、
舌なめずりし声を潜めて一層いやらしげな声音で囁いた。

「熱くてたまらんやろう?身体だけやなく、大事なところまで・・・なぁ?」

喉元を震わせ揶揄するギンの言葉に、ルキアは怒りに顔をあげ、力強く叫ぶ。

「・・・この変態!なぜだ!?なぜそんなに私に構う!?私のことが嫌いならば、放っておけば良いではないか!!」

「・・・なんで構うて?」

この問いにギンは膝をつき、ルキアと同じ目線になると腕を伸ばし、
慌てて背を向け逃げ出そうとするルキアの肩を掴み引き寄せる。

「あっ!や、やだ!!私に触るな・・・!やぁっ・・・!!」

「そーやなー。理由つけるんやったら、僕、ルキアちゃんの強がる顔が好きなんよ。」

そしてそのまま軽々とルキアの身体を膝の上に乗せ、
後ろから抱きつくように服の上から身体を撫で回し、柔らかな耳朶に軽く歯を立てる。

「・・・ふぁっ・・・!んっ・・あっ・・んっ・・ふぅ・・んっ・・・!!」

「僕の事が嫌いで恐ぁてしゃあないくせに、強い顔して睨みつけたりするもんやから、ついつい苛めたくなるやん。
・・・なぁ。そんなん、仕方ないって思わん?」

「んんっ・・・!!だ、めっ・・・!やぁっ・・・!!」

「ずいぶん薬の相性ええんやねぇ?感じすぎなんやない?」

「あっ・・!あぁっ・・・!!やっ・・熱い・・・熱いのが・・・止まらない・・・・」

「なぁ。身体の奥が疼くやろ?熱うて喉がからからで、たまらんのやろ?そしたら、なんて言うたらええの?」

「・・・え?」

「ください。って言うてみ?身体の疼きも渇きも、僕なら癒してあげれるんやけどなぁ?」

「・・・!」



驚愕に目を見開くルキアをそのまま身動きできぬよう羽交い絞めにし、ギンの手は迷いなく襟元を割り中へと侵入していった。

「!!・・・うぁっ!」

ギンの大きな手のひらにささやかな膨らみは完全に包み込まれると、ルキアは思わず声をあげ、
それだけでもギンは嬉しくてたまらず、ルキアの耳元に唇をよせからかうように囁いた。

「なんや?掴まれただけでも、感じるん?」

「!だっ、誰が!!」

「強情やねぇ。でもルキアちゃんのそないなとこも、嫌いやないよ?」

「・・・黙れ!」

強い口調でルキアに叱責され言われた通りに黙ると、
ギンは口の端を持ち上げ静かに笑みを浮かべ、変わりに小さな胸の頂きを摘んで捻る。

「やっ・・・!んんっ・・・!!くぅ・・・んっ・・・」

口では強がることができても、その指先の動きにルキアは簡単に翻弄され、
軽く擦られたただけで身体をぴくぴく震わせて、どうしようもなく甘い呻きが抑えきれずに溢れでてた。
その反応にギンの指先も強く弱く試すように動き続け、その刺激に喘ぎ意識が集中し、
身体から力が抜けてしまったルキアへの拘束を解き、両手で胸を揉み上げ撫でる。

そうされることでルキアの乱れ方もひどくなり、恥ずかしさに控えめだった呻きが細く高い叫びに変わっていく。

熱い、熱い。

身体が熱い。

ギンの手に触れられた部分から火が灯り、全身焦がされてしまうような感覚。
しかし一番熱いのは、身体の奥で蜜が生まれる女の泉。

今この時まで機能した事などない女の部分が、触れられてもいないのに、
男を求めて切ないまでに熱く滾り、ずくんずくんと痛いまでの疼きが止まらない。

後ろ髪を掻き分け、ギンの舌は細いうなじを舐め上げればルキアが逆らえるはずもない。
初めての刺激に尚一層強い悦楽を感じ震えてしまう。
そんな風に長い時間玩ばれながら上半身の着物は完全に脱がされ、
かろうじて通した腕にぶらさがっている状態で、既にルキアは息も絶え絶えになるまでに追いつめられた。
露わになった真っ白な背中に舌を滑らせていたギンはやっと顔を上げると、
胸を掴んだこの手が離れたら崩れ落ちてしまいそうな様子のルキアに、あきれたように声をかけた。

「なんやルキアちゃん。もうへばったん?これくらいで、音ぇあげたらあかんよ。お楽しみは、ここからやん。」

「なん・・・だと・・・?」

やっと胸から手が離れ、ルキアはなんとか上半身を支えようと身を起こし、首を捻って後ろにいるギンを見上げた。
ギンの笑い顔と一瞬向き合ったと思った瞬間、今度は唇を塞がれる。

それは突然水の中に顔を押し込められたような、息することも出来ない衝撃。
足掻くこともできぬ拘束。

今度は舌先に玩ばれ、その間にギンの手はルキアの袴の帯を解き引き降ろし、袴は膝辺りまで簡単にずり落ちてしまう。
外気に太ももが晒されると、その冷ややかさにルキアの全身が粟立ち竦む。

まるで別の生き物のようにぬめり動くギンの舌は、ルキアの舌と擦りあい、
ぴちゃぴちゃと卑猥な音を響かせ、身体の奥から痺れ疼く悦楽をルキアに刻みこんでいく。

舌を舐め合う激しいキスに集中していたルキアの身体がびくりと揺れた。

ギンの片手が下腹部に伸び、熱い蜜が溢れる秘部の割れ目を下着越しになぞりだすと、
朦朧とした瞳も怯えはっきりと見開かれ、動揺して視線が漂う。

あぁ、もうだめだ。
ルキアはあの時のように深い口付けに、麻痺したような思考回路の片隅ではっきりと思う。

もう、この腕から逃げることなど出来ない。

わかっていたはずなのに、それは今更ながらにひどく恐ろしく、取り返しのつかないことだと痛感していた。
でも、それも心の奥底ではずっと望んでいたこと。
炎に惑い周囲を飛びまわり、その熱に苦しみながらもその羽を燻していたのだが、いよいよ自分は全てを焼かれてしまうのだ。

それは絶望と同時に、ひどく甘美な誘惑でもあった。

もう、戻れない。
そのルキアの意識を決定づけるように、ギンの長い指は下着の中へと入り込むとすぐに敏感な蕾を探り出し、
からかっているかのようにそっとつついたり軽く摘んだりされると、
もちろんルキアの身体はその度に過剰な反応を示して激しく喘ぎ、ギンの耳も視覚も充分に満足させた。
しかしそれも短い時間のお遊びで、指はすぐに蜜の溢れ出す源泉を求めて割れ目の奥に沈み込ませる。

「!!!ひぃっ・・・!」

自分でも知らぬ未知の領域に硬い指が潜り込む衝撃に、ルキアは緊張に全身を突っ張らせ身体を縮ませた。
ギンは中の感触を確かめるようにゆっくりと指を深く挿れてはぎりぎりまで引き抜き、また深く潜らせる。
この動きによりそこからルキアの匂いが強く辺りに漂いだし、羞恥にルキアは固く目を瞑り気付かぬフリを必死でしていた。

ぬちゅ・・にちゃ・・・

香りだけでなく今度は淫靡な音が響きだし、ルキアは耳まで真っ赤にし、今度は耳を塞ぎたい衝動に駆られる。
身体が淫らに堕ちこんでいく様を見せ付けられ、耐え難い思いと快楽が渦巻き身体の震えが止まらない。

ルキアの心は希望と絶望。服従と反発の狭間に天秤が激しく揺れる。
定まらぬ思いは、未知への行為の不安から、逃げ出すことを自然と思うが、しかしそれはほんの一瞬のことであり、
あとはただひたすら与えられる快楽を貪るように味わい感じることに集中してしまう。

そこをかき回すギンの長くて力強い指先。
押し込まれれば気持ち良さに声が出てしまうが、本音を言えばルキアの心は既に次の段階を望んでいた。

これではない。
私が本当に欲しいのは、こんな華奢な指先ではない。

そんな卑猥な思考に耽ったルキアの心を読み取ったのか、蜜壷を探っていたギンの指は引き抜かれ、
その指を一度舐めると、そのままルキアの口の中へとねじりこむ。

「ふぅっ・・・!!」

「ルキアちゃんの蜜は甘いんやね?これならチョコレートに負けへんよ?」

「んくっ・・・んんっ・・・ふっ・・・!」

まるでチョコを食べさせた時と同じようにギンはいやらしい笑みを浮かべたまま指を動かし、
ルキアは自分の奇妙な蜜の味にとまどいながら、それでもその指を丁寧に舐めた。

「それにあんまり熱ぅ滾っておるもんやから、もう指がふやけてしもうたみたいや。そしたら・・もう、ええやろ?」

「・・・!!」

いよいよきたその時に、朦朧としていたルキアは一瞬はっと我に返る。
そして身体は自然と逃げ出すことを選び、反射的にギンの膝の上から飛び出そうとしたが、
当然ながらギンが逃がすわけもなく、ルキアは無様に畳みの上に這うような形でギンに腰を掴まれ組み敷かれる。

「ここまでしよって、お預けなんて殺生なことしいな。
もう、逃げられんよ。ルキアちゃん。
とっくの昔に、君は、僕の罠にかかってたんやから・・・」

「やっ・・・・あっ・・はぁ・・・だ・・だめっ・・・!!」

ここまでして、往生際の悪いルキアをギンはせせら笑う。
ルキアは四つん這いに抑えつけられた格好で、恐れからか身体は小刻みに震えながら、
内股まで垂れ流れるまでに濡れた秘部は晒され、そこに熱いギンの肉棒があてがわれると一気に強く刺し貫かれた。

「!!いっ・・・ぎっ・・・ふぁっ・・・あぁぁんっ!!!」

みちみちとルキアの小さな蜜壷に肉棒が侵入してくる、胸に迫る圧迫感に、ルキアは歯を食いしばり苦しげに呻き声をあげる。
しかしそこから与えられるのは、背筋をぞわぞわを撫でせり上がってくる快楽。
否定のしようのない圧倒的な女の悦び。
その激しさに胸の中で揺れていた天秤は、最早完全に快楽を求めた一方に傾ききっていた。

「初めてでもそんな痛くはないやろ?さっきの水に痛覚緩和の効力もあるはずやし・・・」

「ふぁっ・・・あっ・・あんっ!・・・あぁっ・・・はっ・・・」

ギンの動きに息を合わせるように、既にルキアの身体も自然に動く。
飲ませた薬の効果とはいえ、とても初めてとは思えないルキアの快楽を貪る様に、ギンは心からの満足を得ていた。
ギンは一定のリズムで腰を動かしながら、ルキアの上に覆いかぶさるようにして耳元に口を寄せて囁く。

「ええよ。ルキアちゃん。どんだけ乱れても、薬のせいやから、安心して乱れたらええ。
・・・な?めちゃめちゃ気持ちええやろ?一緒にいっぱい楽しもうや・・・」

「んっ・・・んんっ・・・あんっ!・・・はぁ・・・」

この囁きにルキアは振り向き、快楽で朦朧とした瞳で切なげにギンを見上げる。
その瞳と見合った瞬間、ギンの口元からずっと浮かんでいた不遜な笑みが消えた。

ルキアは今まで見たことのない男を誘う、物欲しげな顔で一途にギンを見つめており、ギンは不覚にもその瞳に魅入られてしまった。
それと同時にギンの心の中に、今まで感じた事のない感情が湧き上がる。

これは、僕のもんや。

それは、独占欲や執着心や偏愛といった、今までギンには何一つ起こりえなかった感情の数々。
本当は、ルキアの事もお遊びでしかなかったはずなのに。
飲ませた媚薬も、飲んで十五分もすれば痛覚緩和以外の欲情の効果はなくなり、
今男を欲する感情はルキア自身の感情であると後にバラし、嘲笑うが為の餌でしかなかったのに。

ギンは気付いていなかった。
自分の感情。
ルキアへの執着と偏愛。

そして、遊びを装い騙していたのは、他でもない自分自身。

策に溺らせ、身動きできなくさせようとしていたはずが、
気付けば罠にかかっていたのは自分だったとは、なんともお粗末な話しではないか。

ギンは腰の動きも止め、しばしルキアを見つめ続けた。
しかしルキアは、一度火の着いた身体の火照りに、焦れたように自ら腰をギンへと押し付け、泣きそうな顔で懇願する。



「・・・く・・・くだ・・・さい・・・」



ルキアはとうとう自らの敗北を認め、ギンに対し素直に救いを求めるが、
この言葉の持つ威力に今度はギンが静かに胸を打ち抜かれ、細い目を僅かに見開き黙ってルキアを見つめた。

「い・・・市丸・・・隊長・・・お願いです・・・私に・・・ください・・・」

恥ずかしげに懇願し、ルキアは自らの意思でギンの唇に唇を重ねる。
それは、薄荷飴の時とは全く違う男と女の口付けに、ギンは答えて口を開ける。

「ん・・くっ!・・・ふっ・・・はぁっ・・・!」

ぴちゃぴちゃとはしたない音を口元から存分に響かせ、二人は互いを求め合う。


ルキアは媚薬のせいだという建前の元、

ギンはルキアを貶めているという建前の元、

心の思うままにただ目の前の者を欲して貪る。

やがてギンは無言でルキアを布団の上へと押し倒し、突然激しく腰を打ちつけた。

「はっ!!あっ・・あっ・・・やぁっ・・・は、激しっ・・・だめっ!・・ゆ・・ゆっくり・・・」

ルキアはそこに感じる激し過ぎる感覚に、いやいやをするようにゆるく顔を振りながら、
声を震わせ涙を流すが、ギンは何も語らず、ただがむしゃらにルキアを貪り続けるだけ。
既にルキアのそこは抉られるたび快楽の蜜を滴り溢れさせ、ギンの肉棒が奥を叩くたびぐちゅぐちゅとだらしない音を絶え間なく響かせる。

「・・・気持ち・・ええか?」

「い・・・いい・・・です・・・あっ・・あっ・・・!!気持ち・・・いい・・です・・・!」

「そしたら・・・このまま・・・ずっと・・したげようか・・・・・?」

「し・・して・・・あんっ!・・・して・・ください・・・!」

「・・・可愛ええなぁ。ルキアちゃん。そんなん言われたら、
ほんまにこのまま・・・地獄の底まで、連れていきとうなるやないの。」

「あっ!あっ!あぁっ・・・!!やぁっ・・・」

「ええか?ルキアちゃん。僕がこのまま・・・君、攫って逃げても。・・・ええのかなぁ・・・」

「い・・・いきます・・・一緒に・・・いきます!!・・・だ・・だから、もう・・・もうっ・・・!」

「僕、嘘しか言わんけど、こればっかりは・・・嘘ちゃうからなぁ。・・・約束、してしもうたよ?」

「ひぁっ!?・・やっ!あんっ!あっ!・・・ああああっ・・・ふっ・・・あぁんっ!!!」

自分の内にどくどくと吐き出されたギンの熱を受け入れ、ルキアは身体をびくびくと震わせた。
そして快楽の余韻にぼんやりとした様子のルキアに、ギンは口付け、それからもう一度囁く。

「聞こえとる?ルキアちゃん。さっきの話、忘れとらんよね?睦言の上での方便言うても、もうきかん。・・・僕は、君を離さんよ。」

「い・・・市丸・・たい・・ちょ・・・」

激しい情交の後に、息を乱すルキアの様子に微笑みながら、ギンはルキアの髪を撫で、優しく囁く。

「こないな時は、名前で呼ぶもんや・・・」

そう言いギンはまたルキアの唇を塞ぎ、小さな胸を優しく撫でる。

「んっ・・・んんっ・・・ふっ・・・くっ・・・」

ルキアに甘い甘い、毒のように甘い蜜を吸わせるつもりが、いつの間にかギンの方が虜になってしまった。
その事を痛いまでに自覚しながら、一度では満足できない欲望を満たす為、ギンはもう一度熱く滾った蜜を求める。

この花は、自分の為だけの花。

この花の蜜を貪るのも、己のみ。

ギンはそれをルキアの身体に刻みこむ為、すぐに猛った自身をルキアの蜜の中に埋め込んでいく。
明日の事はわからなくとも、少なくとも今この時だけは、朝になるまでただただ互いを求め合おう。



闇に灯った、この華の火が消えるまで。






罠にかかったのは、だぁれ?

甘い蜜のような毒を喰らったのは、だぁれ?




この身が焼けて地獄の底に落ちようと、離れられなくなったのは、一体だぁれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏 top

いいわけ
 ギンルキパターンEDその2でございます。ちなみにその1はギンが最初からルキアラブラブで、
 その2は途中でルキアへの愛に気付く。『狐が落ちる』に『罪ト罰』もその2ですね。あぁワンパターン(泣)
 今回やっと、表の続き『誘惑ショコラ』『キャンディチョップ』の完結編『蜜毒』を更新することができましたー!
 こりゃなかなかの難産でしたよ☆まずタイトルは、一応シリーズっぽくお菓子とかなんか甘いもの連想するタイトルで悩み、
 最初『ハチミツ』から『黒蜜』そして最後に『蜜毒』に落ち着きました。前の2つが、怪しげな雰囲気とちょっとだけ明るい?感じのものだったので、
 最後はどんな感じにまとめようかすごく悩んだのですが、お決まりパターンの、行為の途中でギンがルキアをめっちゃ愛してると気がつくにしよう!
 と思ったら、こんな感じに仕上がってしまいました・・・。長い時間かけてすぎて、もう良いか悪いかわからなくなりましたけどwww
 今回書きたかったのは『最初抵抗していて、最後には完全にギンに屈するルキア』あ、これはもちろんルキアもギンを本当は好きだからってことですよ?
 そして『遊びのつもりだったのが、本気な自分に戸惑いながらルキアを離さないと決めるギン』
 この後の二人はどうなるでしょう?きっとルキアはやっぱり悪態つきつつもギンにメロメロで、
 やっぱりギンもメロメロだから瀞霊廷のあらゆる場所に毎日のように連れ込んで、仕事中でもエッチしまくってればいいよ!(爆)
 妄想エロでは、抵抗されるってとてもそそられるシチュエーション。(あれ?私だけですか☆)
 それも本気じゃないけど、形だけでも拒んでみせずにはいられないルキアとか・・・もう大好物☆
 そしてギンのSっぷりは語るまでもなく大好きなので、色々詰め込みこんな形に仕上がりました。
 シチュがちょこっと違うだけの代わり映えしない作品ですが、誰かの萌えになってくれれば良いなぁと切に願いつつ。
 2009.4.28

material by 薫風館

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