・・・
・・・・・
・・・・・・・・?
酒に沈められた重い重い意識の中、温かく大きな手で丁寧に頭を撫でられている感覚に急激にルキアの意識が浮上していく。
子供の頃、よく姉が撫でてくれた大好きな手の感触を思い出し、頭から頬へ降りてきた手に自ら頬を擦り寄せ甘えてみると、その手はビクリと強張り動きを止める。
「んーーー・・・っ?」
もっと撫でて欲しいのに、どうして止まってしまったんだろう?
物足りなくねだる気持ちで、ルキアは頬に添えられた手を掴み、更に頬を擦り寄せ手のひらの感触を楽しんだ。
しかし、ここで違和感に気づいてしまう。
・・・・・?
手が、ひどく大きくて、固い?
掴んでいる手は自分の顔半分を覆い隠せる程に大きくて、骨ばってごつごつしている。
姉さまの手はもっと小さくて柔らかい。
いやその前に、大学生で独り暮らしをしているルキアと、結婚し家を出た姉が一緒に寝ているはずもなく、ならばこの手の主は?ということまで思いつき、ここでやっとルキアは恐る恐る瞳を開けた。
「あー・・・やぁっと目ぇ覚めたん?おはようルキアちゃん。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はへ?」
『 キミにハッピーバースディ 』
重たい意識と瞼を無理に押し上げ細く開いた瞳いっぱいに、ひどく幸せそうに微笑む男の顔が驚く程の至近距離にある。
自分を撫でていた男の手を掴んだまま、あまりの驚きにまだ自分は寝ているのだろうかと間抜けな溜息しか漏れ出なかったが、愕然と思考停止に硬直していると、男は無邪気に笑いはしゃいだ様子でルキアを抱き寄せ、潰さぬよう力加減をしながらも力強くぎゅっと優しく抱き締めた。
「起こしてしもうてかんにんなぁ。でも僕、一睡もせんで寝顔見ておったら、早よぅルキアちゃんに起きて欲しゅうて。」
「・・・・・」
「んー?まだルキアちゃん目ぇ覚めとらんねぇ?寝惚けたお顔のルキアちゃんも可愛ええねぇ。
昨日は随分飲んどったし、しゃーないか。ここは僕のお部屋やから安心してええよ。」
「・・・・・」
「あと、ルキアちゃんは裸やけど、まだなーんもしとらんからね。」
「・・・・・はだっ!?」
深酒の代償である倦怠感と気持ち悪さと頭痛に襲われ、全く把握できない状況にルキアは言葉を失い完全フリーズしていたが、自分を抱き締めているこの男が大学サークルの先輩で、日頃から付きまとわれ大変迷惑している相手であることと、昨夜はこの男の誕生日をサークルで祝おうと無理やり連れだされ、ヤケになって今までになく飲んでしまい途中で意識をなくした所までは思いだした。
それがどうして、この男と一緒に寝ている事態に・・・現実逃避したい状態に真っ青で動けなくなっていたが、『裸』と言われルキアの意識は突如覚醒し、急ぎ男を引きはがし体を起こすと、下を向いて自分の体を確認した。
「!?ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
見下ろした体は下着すらつけておらず、膨らみの薄い胸の乳首までしっかりと目に映り、この状態で寝ており挙句男と抱き合ったことにルキアは今出る限りの力を使い大声で叫び、可能な限り男と距離を取ろうと咄嗟に後ろへ飛びのこうとした途端。
「うわぁっ!?」
「ちょぉっ!?危なっ!!」
勢いあまってベッドから転がり落ちそうになったところを、腕を男に掴まれ引っ張り助けられる。
改めてしっかりと抱き合ってしまったルキアは顔を真っ赤にさせ、それでも急ぎ男を突き飛ばすと、今度は慎重にずりずりと後ずさって距離をとり胸元を布団で覆い隠してから、絶望的な表情でズキズキと痛む頭を押さえやっと呼吸を整える。
「どないしたん?まだ具合悪そうやし、急に動いたら危ないやろ?」
「あ・・・の、市丸・・・先輩?昨夜、何があったんでしょうか?私は、どうして、こんな事に・・・・・」
「え?昨日のこと、覚えとらんの?」
「はい。大変情けないことですが、全く。なにも。」
「・・・せやったら、僕と付き合うてくれる。恋人になる。ゆうたのも、覚えとらんの?」
「え?私が、先輩と付き合うと?そんな・・・・・いつものタチの悪い冗談、ですよね?」
「タチの悪い、冗談・・・・・て?」
遠巻きに俯くルキアをずっと心配そうに伺っていた市丸ギンは、ここにきて明らかに顔を強張らせザッと様子が変わったが、ルキアは痛みと混乱に全く気付くことが出来なかった。
「・・・・・僕らが付き合うゆうんは、冗談、ではないんよ。
サークル皆の前で宣言したんやし、動画も録っとるし、昨日の飲み会に来た子ら全員が証言してくれるんやけど。」
「宣言!?動画!?証言!?そこまでやらかしたのか!私は!!」
「・・・・・・・・やらかした。て。
ほんまに、なんも覚えておらんの?」
先程までの幸せに満ちた表情がひび割れ、呆然と呟くギンの顔などまともに見れず、ルキアはガバリと布団の上で土下座をした。
「~~~~~本っ当すみません!市丸先輩!!
サークルの方々には私から説明しますので、酔っぱらいの戯言と、全てなかったことにはしていただけないでしょうか!」
「・・・・・・・・・」
裸で土下座する惚れた女の姿の衝撃に、さすがにギンも言葉を失いフリーズするが、ややもすると状況把握しすっと目を細めた。
「酔うて覚えとりませんから。で、全部、なかったことにするつもりなん?」
「・・・・・そういうことに、して、いただけないものか、と。」
「ふぅん・・・・・・・・・・・・・
・・・・・そーかー。残念やけど、そーゆーこと、やったら。」
「!」
呆れたように溜息をつきガシガシと頭をかくギンの様子に、なんとかなったのかと期待をこめたルキアがパっと表情を輝かせ顔を上げ、その嬉しそうな顔がギンは心底気に入らず、珍しく不快気に顔を顰めたギンは、一気にルキアの目の前に詰め寄り逃げられぬようその手を掴む。
「もちろんあかんよ。」
「えぇっ!?」
「あんなぁルキアちゃん?大好きな子が全裸で抱き着いてきとるのに、手ぇ出さんかった男の気持ち、ほんまにわかっとるぅ?」
「・・・・・」
「ルキアちゃんが大事やからが一番やけど、この状況下で僕が手ぇ出さんのは尋常なことやないんよ?意識ないうちにしてしもうて体目当ての遊びや思われたらいややし、ちゃんと起きとるルキアちゃんに受け入れて欲しいゆう僕なりの誠意やったんやけど・・・・・
起きた途端、そないいけずな事言われてしもうたらもうあかん。僕の純情弄んだ責任はとってもらわんと。」
「な、なにをする気だ!同意のない性行為は強姦で犯罪になるのだぞ!?」
「強姦でも犯罪でもなんでええ。一晩我慢させられたんやし、もう無理にでもルキアちゃんには僕んもんになってもらうわ。」
「!」
掴んだ手を引き布団の上に簡単に押し倒されたルキアの、心底絶望している表情に更に苛つきを隠せぬギンは、ぐっと顔を近づける。
「ゆうておくけど僕、本気で怒っとるよ。乱暴と痛いことだけはせんけど、どれだけルキアちゃんが嫌や泣き喚いても、最後まで絶対やめんから。」
「あっ!い、市丸、先ぱ・・・」
「『ギン』て、呼んでや。」
「っ!!」
明らかに苛ついてた声音を一変させ、耳元で甘く掠れた声で囁かれルキアはビクリと反応し顔を背けて肩をすくめる。しかしそんな拒絶も許されるはずもなく、頬に大きな手のひらで包まれ強制的に上向かされ、あっと小さく開いた唇の合間の舌が差し込まれ声ごと喰われる。
「んむぅっ!?ふっ!んっ!!むぐぅっ!?・・・うっ!くぅ・・・っ!!」
初めてのキスがディープキスで無遠慮に舌を舐め絡みとられるとんでもない感触に狼狽し、なんとか引きはがそうと胸を叩き呻き抵抗するが細い見た目に反してギンはびくともせず、それどころかルキアの抵抗が完全になくなるまで舌を吸い続け、片手で薄い胸の膨らみをするりと撫でた。
「ふっ!?ぐぅっ!!??」
「ふはっ!キスしとってもルキアちゃんは元気やねぇ。大分気持ち良さそうな顔になっとるし、案外嫌いやないんやね?安心したわ。」
「はっ・・・はぁっ・・・はぁ・・・かっ・・・・・勝手に・・・安心、するな!」
「それや。そのルキアちゃんの強がるつよーい目ぇが好きなんや。強うて脆うて、ほんま可愛ええ子。」
「やっ・・だ!嫌だ!触るなケダモノ!」
「ケダモノ?僕が、ケダモノて?・・・・・くっ!ふふふっ!」
随分若い頃から数え切れぬ女を抱いてきたが、それは溜まったから抜く作業的な自慰行為とさほど変わりなく、「上手いが冷たい」「愛情を感じない」と言われたり、ポーズだけでも寸前で行為を拒まれた途端「帰ってええよ」と放り出していた自分が、初めてケダモノと言われる可笑しさに自然と笑いがこみあがり、そしてそんなギンの様子を薄気味悪そうにルキアは眺めた。
「なにがそんなに可笑しい。」
「ケダモノかぁ。僕が獣になるんくらい、ルキアちゃんと交わりたくて必死なんやと思うたらおかしゅうて。」
「な、何を言って・・・わぁっ!?」
手を放されたので少しずつ距離をとろうとしたがまた引っ張り戻されると、ルキアの上に覆いかぶさりやっといつものように機嫌よくギンは笑いかけた。
「なぁルキアちゃん。実は僕、恋をしたのは初めてなんよ。嘘やのうて、ほんまのほんまにルキアちゃんが初めてなんや。せやから必死やし、ほんまはルキアちゃんにも僕の事ちゃんと好きんなって欲しいと思うとるよ。」
「だったらこんなやり方は間違っている!これでは好きになるどころか嫌いになる一方だ!!」
「んー・・・まぁそこは、まず既成事実を作ってしもうた方が色々早いやろ。」
「それがいかんと言っているのだ!」
「せやね。本音ゆうたら一晩我慢したんやもん。もう、我慢はできんよ。」
野生の本能にギラギラと目を輝かせ、ルキアの足の間に自分の足を絡ませグイと開かせると、長い人差し指をくにゅり秘所へと突き立てた。
「あっ!?や、やだ!何して・・・ひっ!?あ・・・あぁぅっ・・・!!」
「狭っ!ルキアちゃんはここも小さいんやねぇ。指1本もよう入らんねぇ。」
「痛っ!やだ!嫌!痛いっ!指、だめ!抜いてぇ!!」
「はぁ・・・可愛ええルキアちゃんに痛いことは絶対せんよ。ゆっくりゆーっくり時間をかけて解して、ルキアちゃんが欲しゅうて堪らんようになるくらいドロドロに蕩かしてあげるわ。」
「あっ!?ひっ!やぁっ!なにを・・・~~~~~~っ!!!???」
どれだけルキアが力の限りに暴れ逃げ出そうとしてもギンを突き飛ばせるはずもなく、その細い太ももを掴み更に開かされ、誰にも見られた事のない秘所を無理にさらけ出された羞恥に息を飲む間もなく、ギンは女王陛下へキスをするように恭しく唇を押し付けた。
くちゅうっ?
ちゅっ、ちゅくっ、ぬちっ・・・・・ぬぷぷぷっ・・・・・・・・・
「ひぃっ・・・!あぅっ!?い゛っ!あっ!あ!?うぁっ!やっ!いや!やだぁっ!?」
「ルキアちゃんのここ、ツルツルで赤ん坊みたいやのに、妙にエロい形しとるねぇ。」
女性の秘所部を舐められる奇妙な感触に身震いしているうちに、ギンの長い舌に内部を優しく犯されていき、気持ち悪いはずなのに強制的に快楽を植え付けられていくような感覚に腰は跳ね、ルキアは動揺し意味のない泣き声をあげるしかなかった。
ぬちっ ぬちっ ちゅくぅっ ぬぷっ ぬちゃぁっ・・・
「ひっ!?だめっ!あっ!やっ!いっ!気持ち、いっ・・・!・・・?・・・!!い、いやだっ!やめろ!!」
好きでもない男に大事な場所を舐められ、本当に気持ち悪く嫌悪しているはずなのに、貪欲な体は早くも快楽を覚えはじめ、心は拒んでいるのに体が求めているのがわかり、自分がバラバラになっていくような恐怖にルキアは自分の股に顔を埋めるギンを引きはがそうと必死になって両手で押すがビクともしない。
それどころか、快楽に膨らんだクリトリスを甘噛みされながら指2本を差し込まれ、ルキアの体がビクンと弾け反応を示す。
「ひっ!ぎぃ!?」
「んー?ここピクピク震えとるよ。噛まれて甘イキしたんやねぇ。」
「うあっ・・・やっ・・・・・やらぁっ・・・も、いやらぁ・・・」
「何言うとるの?まだまだ始まったばかりなんやから、ルキアちゃんはもっときばらな。」
「うぅっ・・・もぅ、やぁらぁ・・・・・」
「それやったらルキアちゃんが、いややなくなるくらい気持ちようさせてあげなあかんね。」
甘イキとはいえ初めて経験する絶頂感に意識を朦朧としながら、これ以上の快楽を知る大きな怖さと小さな期待にルキアは子猫のようにフルフルと震え、その様子にギンの嗜虐心は多いに煽られ、瞳を妖しく煌めかせケダモノのように舌舐めずりをした。
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※去年の9月10日ギン誕生日に半分あげ、後半分を1月14日ルキア誕生日にあげることになろうとは・・・遅くなって本当にすみません。
他ジャンルで連載していたもので、こちらが本当に遅くお待たせしてしまった挙句、えちパート少なくて本当に申し訳ございませんでした。
でもね、やっぱり10年以上書き続けてるせいか、特にノープランで書き始めてもこの二人はよく動き話てくれるので書き出すの楽なんです。
こんな出来で本当に申し訳ないばかりですが、今でも見守りお声をかけてくださる優しいミエ様へ捧げさせてください。リクエストありがとうございました!
2021.1.14